ID:54909
堀井On-Line
by horii86
[383385hit]
■5270,閑話小題 〜久々の大物が出現
問題は、それぞれの寄生虫は、そこが全世界と思っていること。それを知るには、
世界外に出てみないと分からない。 人間は世界内存在とハイデッガーが
述べたのは、そのことである。
ーまずは、渡辺昇一著「知的余生の方法」の≪自分の世界の自覚≫ よりー
【 ここでは人間の「世界内」と「世界外」について述べてみたい。
こんな句がある。< 虫けらは やはり自分の世と思い 阿部佳保蘭 >
毛虫は、住む木の種類が決まっているという。Aという毛虫はKという木の葉
しか食べない。その毛虫にとってはその木の傍に美しい花咲く種の木があろうが、
おいしい葉を持つσ種の木があろうが関係がない。Kという自分の木だけが
全世界だと思っている。この応用はいくらでも応用できる。
「象の皮膚の襞につく寄生虫は、自分がくっついているその襞だけが
自分の全世界で、象がどのような形をしている動物かも知らない」というような
ことを言ったのは仏の哲学者ルコン・デュ・ニュイであったろうか。このように
虫の立場から見る世界とか、鳥の立場から見る世界とか、人間以外の動物の目
から見る世界の「視点の転換」を教えたのはユクスキュウルという独の動物学者。
哲学史でどう取り扱われているかは詳しくは知らないが、人間の思考法を大転換
させる業績だと思う。 木田元さんは近代西洋哲学の、特にドイツの哲学者
ハイデガーの権威である。・・・木田さんはハイデガーの『存在と時間』の訳を
読んで発奮されて東北大学の哲学科に入学され、哲学者になられた。
ハイデガーを本当に理解したいと思ったからだと言う。当時の私は中学の教科書
のほかには、佐々木邦の『珍太郎日記』とか、吉川英治の『三国志』を耽読して
いたのだから、暦日年齢的には三、四歳ぐらいの違いなのに、精神年齢としては
十歳以上も違っている。そう言えば、同じ中学の五年先輩の丸谷才一氏の読書歴を
見ても、私とは確実に十五歳以上の精神年齢差がある。その木田さんは比較的
早い頃からハイデガーについての著述をなされていたが、ハイデガーを本当に
理解できるようになったのは、ずっと後年で、ハイデガーがユクスキュウルの
動物学の影響を受けているのがわかったからであるという。象の寄生虫の存在を
「象の皮膚の皺という世界内存在」ということになる。」・・・ 】
▼ この辺は、カントの論に似ている。カントは五感の能力内でしか世界を
認識できないと初めて論じた人。寄生虫と、人間の違いは、自分が象の皺の
中にいることを実感しているかどうか。それを知るには、長年かけた教養を
積むか、その地を遥か離れなければならない。そういえば、力・愛・知の追求
の他に、それらから一歩離れた価値の追求をしてきたのは、五感の外の
(世界外)存在も念頭に入れていたため。
・・・・・・・
3433, 電子書籍の衝撃 ー2
2010年08月19日(木)
「電子書籍の衝撃」佐々木 俊尚 著
*iPadの有利な理由と、不利な理由
◎ まず優れている点は、
・汎用機としての魅力。パソコン、携帯電話に次ぐ三番目のデバイスとして
生活の中の確固として存在になる。大きな画面を近距離からリラックスした姿勢
で見ることができる。書籍、ちょっとした動画の鑑賞、映像つき音楽などが気楽
にみれる。マニアを除けば一人一台になると、キンドルのような専用機は不利で、
本も動画も見れ、ウェブも 楽しめる汎用機を皆が見れるようになるか。
・次に、iPadはiPhoneをベースにしているため、そのアプリを、
そのまま使える。既に数万点もある。既に一年前で3000万台を持った
ユーザーが、そのまま横滑りをしやすい。
◎ 不利な部分は、
・サイズと重量、バッテリーの持続時間などのスペック。キンドルに比べ面積も
重量も、大きく重い。持続時間は、バッテリーの10時間に対して、キンドル
は7日から10日。
・第二に、キンドルはバックライト付きの液晶画面で、見た目が紙に近く、
液晶より文字が読みやすく、目が疲れにくい。
[5]続きを読む
08月19日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る