ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6695,閑話小題 〜二日月(山岸凉子スペシャルセレクション[) −2
6288,読書日記 生きることへの冒瀆とは! 〜3
2018年06月01日(金)
『旅人よ どの街で死ぬか。〜「男の美眺」』
(伊集院静 2017年)から。
* 予感、あるいは沈溺
≪ ◉ 長く旅を続けるには術が必要である。友人の勝負師とどうように、
頓着を持たないことだ。旅人の一人の些細な感情など都会という土地では
とるに足りなぬものだ。
そんな時は高台に行き、都会を見おろせばいい。
河岸に立って川を眺めればいい。人の感情など関わりなく、
―川はただ流れている。それだけのことだ。
ー何かを手に入れたものは何かを失う。自明の理である。
旅を続けている限り、失うものはない。しかし失わないことが旅に求める
安堵であるのなら、その旅は愚かな行為でしかない。流れる水を見て思った。
ともかく旅を続けるしかない。 127-128p
◉ ヨーロッパ大陸を飛行機で旅し、窓から大陸を見たことがある人は、初夏に
レモンイエローの花を咲かせた菜の花畑の美しさを知っているはずだ。148-149p
◉ ポーランドのアウシュビッツ収容所を訪ねた。見ておくべき場所だから
出かけた。私をむかえてくれた日本人の案内人は物静かで温和な人だった。
収容者たちが列車から降ろされ、歩かされた道を案内人と歩いた。折から
やわらかな初夏の風が吹いて流れ、路傍の野花を揺らしていた。かつてここが
殺戮の場所であったとき、花は咲いてもいなかったろう。収容所で目にした
ものは、予期したとおり私たちが見ておくべきもの、知っていなくてはならない
ものだった。黙示であってはならないものである。残されたものたちが立証して
いるのは、これがまぎれもなく人間がなしたものであるということだ。
〜過ちをくり返すのが人間だとしたら、人間はどうしようもない生きものである。
−そうかもしれない…。 207p ≫
―
▼ ツアーの面白さ、厳しさの一つが、1〜2週間、移動空間と旅先空間を密着
すること。 嫌でも、様々な人生を垣間見ることになる。また、重厚な人生観を
知ることになる。行先の多くが秘異郷もあるが… 10年近く前までは、まだまだ、
高度成長時代の恩恵を受けた人たちが多かった。その反面、仕事に追われてフッと
気づくと晩年に差し掛かり、人生を取り戻そうとすがる思いの人が半数だろう。
それが圧倒的大自然の只中で、自然と出てくる激情が、呟きで聞こえてくる。
『ズ〜ッと老人ホームで働いてきたの。で、ハッと気づいたら、自分が年寄りに。
現実に流されて、周辺の人だけを見てね。何にも考えないで、決断もしなくて、
これまで生きてきたの。ところが先を切られたの… …旅行前に色いろの問題を
箪笥の中に押しこんでね。帰ったら、それを出して整理をしないと。
でもここに来て良かった。これで心おきなく死ねるわ。』
パタゴニアの、山中の道すがら、初老の女性が、何気なく話しかけてきた言葉。
話は続く。
『養老院って、人生の果てでしょ。人間の本性が丸出しになるの。特にね、
夜這いって、御婆さんの方が多いの。夜中に男の人の悲鳴が聞こえてくるの。
‘何するんだ、この野郎’ってね。 寂しかったのね。』
――――
6680,閑話小題 〜悲しみって、時間と共に深くなるのよ!
2019年06月30日(日)
* 悲しみは時間と共に薄れるって嘘よ
再び「ガイロク(街録)という番組の話。 下町で一人歩く御婆さんの話題。
《 若くして夫を失い、その後、手塩にかけた一人息子を交通事故を亡くしたと
いう、『毎月、祥月命日に、墓地にお参りに行くのが、務め。これは私が元気
でないのなら…。 高尾山のお墓に行くため山を登るときに、自分の名前を呼びながら
励まして登るの。>と、述べていた。
ところが、それを聞いていたゲスト榊原郁恵の母親の言葉が何とも!
『郁恵ちゃん、悲しみって時間と共に薄くなるって、嘘よ。逆よ!』
いや、驚いた。悲しみ、苦しみは、私の経験則からして大よそ、二年半で
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07月15日(月)
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