ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5931,閑話小題 〜狂ったドン様と、耄碌した泡沫候補
漁師町で一緒に生活を始める。しかし、その一方で地元の娘と浮かれる寅次郎。
ある日、ちょっとしたことで二人は大喧嘩。翌日リリーは沖縄を去ってしまう。
寅次郎は慌てて身支度を整え、手近な船に乗り、東京へ戻ろうとする。
島伝いに、時に行き倒れになりながらも、なんとか柴又にたどり着いた寅次郎。
そこで、偶然リリーに再会し、おおいに喜び合うのであった。さくらは、
リリーに寅次郎と結婚して欲しいと漏らし、寅次郎も「俺と所帯を持つか」と
発言するが、リリーは冗談として聞き流す。そうして、柴又駅で二人は悲しく
別れるのであった。好き合いながらも、お互いのプライドや体裁で一緒に
なれないリリーと寅次郎であった。】 ≫
▼ 考えてみれば、風に吹かれるまま、自由気ままでいられたのは、時代背景
が高度成長期にあったから。 その日暮しの安宿を泊まり歩く、ホームレスの
テキヤの寅と、フリーの売れない歌手リリーの境遇は似ている。
以前、経営していたホテルの宿泊客に、全国を股にかけた、流しのホテトル嬢
が何人かいた。 夕刻に出掛け、朝帰りのため、聞き込みの刑事に怪しまれない
よう、自分の職業の申告を最初からする。 外見からして、ごく普通の女性。
寅と、リリーの明日をも知らない危うさから生まれるドラマが、共感を呼ぶ。
最初は、1960年代半ばの、鶴田浩二や高倉健、池部良らを主役脇役に据えた
「ヤクザ映画」のパロディとして企画された映画が、シリーズ終了後、20年
も経つのに、今でも、再放送されるのは、現在、失われつつある日本の家族の
原型が、そこにあるため。TV欄を見ながら、『また寅か、されど寅ですか〜』
〜これも偶然、寅さんの生き様、「目標なく生きる重要性」が書かれている〜
寅の生き様こそ、人間のあるべき姿かもしれない。
「アホ違うねん、パーなんや」 で、「パーは、どっちがねん?」
・・・・・・
5201,老年期の意味
2015年06月11日(木)
* 目標なく生きる重要性
現役から、余生の時節に移行して、それまで見えていた社会の様相が、
全く違ってみえてきている。現役時代は目的的な強い束縛の中で日々を
過ごしてきた。何もしないことは良くないことと、信じて疑ってなかった。
現役の知人に、『何もすることがないのも、良いことだよ!』といった時に、
明らかに恐れと戸惑いが現れ出ていた。ただ、ブラブラと無目的的に日々を
暮らすと、日常の中の、景色が、違ってくる。それが御隠居の特権である。
京大教授の山極寿一の、「老後の意味」の論が面白い。
≪ 人類の進化史の中で、老年期の延長は比較的新しい特質だと思う。
ゴリラやチンパンジーなど人類に近い類人猿に比べると、人類は多産、
長い成長期、長い老年期という特徴をもっている。多産はおそらく古い時代
に獲得した形質だ。人類の祖先が安全で食物の豊富な熱帯雨林から出て、
肉食動物の多い草原へと足を踏み出した頃、幼児死亡率の増加に対処する
ために発達させたと考えられる。成長期の延長は脳の増大と関連がある。
ゴリラの3倍の脳を完成させるため、人間の子どもたちはまず脳の成長に
エネルギーを注ぎ、体の成長を後回しにするよう進化したのである。
脳が現代人並みに大きくなるのは約60万年前だから、その頃すでに多産と
長い成長期は定着していたに違いない。
しかし、遺跡に明確な高齢者の化石が登場するのは数万年前で、ずっと
最近のことだ。これは、体が不自由になっても生きられる環境が整わなかった
からだと思う。定住し余剰の食料をもち、何より老人をいたわる社会的感性が
発達しなければ、老人が生き残ることはできなかったであろう。
家畜や農産物の生産がその環境整備に重要な役割を果たしたことは疑いない。
ではなぜ、人類は老年期を延長させたのか。高齢者の登場は人類の生産力が
高まり、人口が急速に増えていく時代だ。人類はそれまで経験しなかった
新しい環境に進出し、あつれき人口の増加に伴った新しい組織や社会関係を
作り始めた。さまざまな軋礫や葛藤が生じ、思いもかけなかった事態が数多く
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06月11日(日)
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