ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5566,フーテンの寅の、本質と家族の幸せとは 〜⑤
 現役から、余生の時節に移行して、それまで見えていた社会の様相が、
全く違ってみえてきている。現役時代は目的的な強い束縛の中で日々を
過ごしてきた。何もしないことは良くないことと、信じて疑ってなかった。
現役の知人に、『何もすることがないのも、良いことだよ!』といった時に、
明らかに恐れと戸惑いが現れ出ていた。ただ、ブラブラと無目的的に日々を
暮らすと、日常の中の、景色が、違ってくる。それが御隠居の特権である。
 京大教授の山極寿一の、「老後の意味」の論が面白い。
≪ 人類の進化史の中で、老年期の延長は比較的新しい特質だと思う。
 ゴリラやチンパンジーなど人類に近い類人猿に比べると、人類は多産、
長い成長期、長い老年期という特徴をもっている。多産はおそらく古い時代
に獲得した形質だ。人類の祖先が安全で食物の豊富な熱帯雨林から出て、
肉食動物の多い草原へと足を踏み出した頃、幼児死亡率の増加に対処する
ために発達させたと考えられる。成長期の延長は脳の増大と関連がある。
ゴリラの3倍の脳を完成させるため、人間の子どもたちはまず脳の成長に
エネルギーを注ぎ、体の成長を後回しにするよう進化したのである。
脳が現代人並みに大きくなるのは約60万年前だから、その頃すでに多産と
長い成長期は定着していたに違いない。
しかし、遺跡に明確な高齢者の化石が登場するのは数万年前で、ずっと
最近のことだ。これは、体が不自由になっても生きられる環境が整わなかった
からだと思う。定住し余剰の食料をもち、何より老人をいたわる社会的感性が
発達しなければ、老人が生き残ることはできなかったであろう。
家畜や農産物の生産がその環境整備に重要な役割を果たしたことは疑いない。
ではなぜ、人類は老年期を延長させたのか。高齢者の登場は人類の生産力が
高まり、人口が急速に増えていく時代だ。人類はそれまで経験しなかった
新しい環境に進出し、あつれき人口の増加に伴った新しい組織や社会関係を
作り始めた。さまざまな軋礫や葛藤が生じ、思いもかけなかった事態が数多く
出現しただろう。それを乗り切るために、老人たちの存在が必要になった。
人類が言葉を獲得したのもこの時代だ。言葉によって過去の経験が生かされる
ようになったことが、老人の存在価値を高めたのだろう。
 しかし、老人たちは知識や経験を伝えるためだけにいるのではない。
年や壮年とは違う時間を生きる姿が、社会に大きなインパクトを与えることに
こそ大きな価値がある。人類の右肩上がりの経済成長は食料生産によって
始まったが、その明確な目的意識はときとして人類を追い詰める。
目標を立て、それを達成するために時間に沿って計画を組み、個人の時間を
犠牲にして集団で歩みをそろえる。危険や困難が伴えば命を落とす者も出てくる。
目的が過剰になれば、命も時間も価値が下がる。その行き過ぎをとがめるために、
別の時間を生きる老年期の存在が必要だったに違いない。老人たちはただ
存在することで、人間を目的的な強い束縛から救ってきたのではないだろうか。
その意味が現代にこそ重要になっていると思う。≫
▼ 落語の『御隠居と与太郎』の問答が、正しく、これ。人生を消化した
 御隠居と、何もしらない与太郎の無目的の状態の二人が、目的的社会に
ついて笑い飛ばす。4年前に、それまでの自分の姿が急に面白くなり、腹の
底から笑ってしまった。それで憑物が落ちたのだろう、開き直れたようだ。
元もと、アウトサイダーを自認して、社会との関りを最小にしていたことも、
現在の日常を楽にさせてくれている。夕暮れには夕暮れ時の楽しみがある。
 〜以下のことは森のこと。後は、娑婆娑婆したり、しなかったり!
・・・・・・
4836,「事業人生を決心して45年」の語り直しー12
2014年06月11日(水)
   * 閑話小題 ー事業人生を振返って、あらため気づいたことは
 人生を鳥瞰すると、その時々に直面する問題に無心で取組んでいると、違う
チャンスが生まれているのが見て取れる。これは、課題に対する「正中心一点無」

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06月11日(土)
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