ID:51752
原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■「やがてイスラム主義の国になるエジプト」だって。
「田中宇の国際ニュース解説」より引用します。

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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2011年2月12日 http://tanakanews.com/

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★やがてイスラム主義の国になるエジプト
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 2月11日夜、エジプトのムバラク大統領が辞任した。ムバラクは辞任の前
日、かねてから親しかったイスラエル労働党の国会議員ベンエリエゼル(Ben-
Eliezer。元国防相)と電話で20分間話した。その中でムバラクは「米政府
は中東の民主化を支持すると言うが、彼らは、自分たちが言っていることの意
味を理解していない。中東を民主化すると、米国を敵視するイスラム過激派の
国ばかりになってしまうのに、米政府はいつまでもそのことに気づかない」と
述べ、米国を非難するとともに、自分が米国から疎んぜられていることを嘆いた。

http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/mubarak-slammed-u-s-in-phone-call-with-israeli-mk-before-resignation-1.342831
Mubarak slammed U.S. in phone call with Israeli MK before resignation

 米政府は1979年のイラン革命で、民衆が蜂起してイラン国王を追放する
ことを「民主化」として支持したが、それは結局、ホメイニ師らイスラム主義
勢力がイランの政権をとって親米的なリベラル派や軍幹部を粛清し、今に続く
反米的なイスラム主義政権ができることにつながった。また米政府は2005年、
ブッシュ政権が推進した「中東民主化」の一環としてパレスチナで民主的な選
挙を行わせた。イスラエルやパレスチナ自治政府(PA)は「真に民主的な選
挙をやれば、反米イスラム主義のハマスが勝ってしまう」と反対したが、米政
府は聞かずにPAに選挙を実施させ、その結果ハマスが大勝した。事後に
なって、米国やPAは何とかハマスに政権をとらせまいと画策し、西岸の政権
交代を阻止したが、ガザをハマスにとられてしまった。

http://tanakanews.com/990921iran.htm
イスラム共和国の表と裏(1)乗っ取られた革命

http://www.tanakanews.com/g0202hamas.htm
ハマスを勝たせたアメリカの「故意の失策」

 ムバラクは、これらの例をふまえて「米政府は、中東を本気で民主化すると
イスラム過激派の国ばかりになることを、過去の教訓から理解できるはずなの
に、理想主義にふけってそれに気づかず、今またエジプトの民主化運動を支援
し、自分が大統領職から追い落とされることを容認しようとしている。エジプ
トの政権転覆を容認したら、政権転覆が他のアラブ諸国に飛び火し、エジプト
だけでなく中東全域が反米的なイスラム過激派の国になってしまうのに、米政
府はそんなこともわかろうとしない」と米国を非難したのだった。

 ムバラクは2月11日、エジプトの軍部によって大統領職を追われた。3週
間におよぶ民衆の反政府運動がムバラクを追い落としたことになっているが、
実際には、この50年間エジプトの権力を黒幕的に支えてきた軍部がムバラク
を支持する限り、何百万人の群衆が集まろうが、ムバラクは無視して大統領に
とどまり、そのうち群衆はあきらめて帰宅する。軍が反政府の国民運動に同調
し、ムバラクに辞任を求めた結果、ムバラクは権力を失った。

 それでは、軍はなぜムバラクを追い出したのか。ムバラクの独裁に嫌気がさ
したから?。民意を尊重したから?。いずれも違うだろう。独裁をやめて民主
化したら、イスラム主義のイスラム同胞団が与党になり、革命後のイランのよ
うに、イスラム主義者が世俗的な軍部を潰しにかかるだろうことを、軍は良く
知っており、軍幹部はムバラクと一緒にイスラム同胞団を弾圧し、選挙不正を
良いことと考えてきた。

 軍部が民衆運動を支持してムバラクを追い出したのは、エジプトの軍隊を育
成した「軍部の親玉」である米政府が民衆運動を支持し、エジプト軍に対し、
民衆の味方をしろと裏で圧力をかけたからだろう。米オバマ政権は、エジプト

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02月14日(月)
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