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On the Production
by 井口健二
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■それでも私は Though I'm His Daughter、アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『それでも私は Though I'm His Daughter』
オウム真理教・麻原彰晃の三女でアーチャリーこと松本麗華
の姿を描いたドキュメンタリー。本作はロサンゼルスで開催
された第25回Life Fest Film FestivalにてSpirit of Capra
賞長編ドキュメンタリー部門などで受賞を果たしている。
映画の始まりは2018年2月、1人の男性が当時34歳の松本麗
華に面会を申し込む。その男性は34年前に起きた保険金殺人
事件の被害者の兄であり、その犯人の死刑が執行された直後
だった。
つまり男性は殺人被害者の親族であり、一方の松本は1995年
「地下鉄サリン事件」などの加害者(当時は死刑囚)の親族。
これは究極の立場の2人の対談ということになる。しかしそ
の席で2人はある種和やかな会話を続けている。
それは男性には自分の弟が殺された真の理由が知りたいとい
う思いもあったようだが、松本の口からは幼かった頃の優し
かった父親の思い出などが語られるだけであり、そんな父親
が重罪を犯した理由は彼女にとっても謎だった。
そんな松本には国による「教団幹部」の認定が続いており、
希望する就学もままならず、銀行口座さえ開けない日々が続
いていた。そして精神に異常をきたしたと思われる父親の治
療も許されず、犯行の理由は不明のままだった。
しかし2018年7月、突然松本智津夫らの死刑が執行され、犯
行の理由は不明のまま事件は終結してしまう。そんな松本麗
華の日々が綴られて行く。
監督は、2017年大阪ABCテレビのドキュメンタリー『生き
直したい』で坂田記念ジャーナリズム賞受賞などの長塚洋。
近年は死刑問題を多く扱っているドキュメンタリストの究極
の作品とも言えるかも知れない。
「地下鉄サリン事件」は犯行現場となった築地駅や霞が関駅
が自分にとっては平生利用している駅だったこともあり、衝
撃を受けたものだったが、その犯行の意味は全く不明のまま
事件は死刑執行によって終結してしまった。
しかし本作は死刑囚の親族に焦点を当てたものであり、謎解
きよりは親族が置かれた状況などを多く描写している。それ
は監督の観点としては当然と言えるものだろう。死刑廃止論
の主張としては解り易いものでもあった。
とは言え観終えてモヤモヤが残るものではある。特に突然の
死刑執行については、しかも13人が一気に執行されたことに
は何か隠された裏があるようにも感じてしまうものだ。そん
な疑問を炙り出してくれたような作品でもあった。
公開は6月14日より、東京地区は新宿K's cinema他にて全国
順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、制作・配給会社Yo-Proの招待で試写を観
て投稿するものです。
『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』
“Ամերիկացի/Amerikatsi”
旧ソヴィエト連邦の構成国だったアルメニアの歴史を基に、
その歴史に翻弄される1人の男性の姿を描いた作品。本作は
ウッドストック映画祭やハンブルク映画祭など、世界各地の
映画祭で審査員賞や観客賞などの受賞を果たしている。
主人公は第1次大戦中の1915・16年に起きたオスマン帝国に
よる大虐殺を逃げ延びてアメリカで暮らしていた男性。そん
な男性がソ連併合後の1946〜48年にスターリンが提唱した祖
国帰還運動に誘われてアルメニアに戻ってくる。
しかし現地の言葉を喋れない男性は、ちょっとした発言や仕
草によってアメリカのスパイと誤解され、モスクワから派遣
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05月18日(日)
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