ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ピアニストを待ちながら、BISHU 世界でいちばん優しい服、ほなまた明日、とりつくしま
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『ピアニストを待ちながら』
2004年の監督デビュー以来、商業映画にはほとんど関わらず
に独自の映画ワールドを構築してきたという七里圭監督が、
早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)の開館記念と
して制作した短編作品のディレクターズカット版。
作品は建築家隈研吾のデザインによる村上春樹ライブラリー
の中で全編が撮影され、階段や曲がりくねった通路などが多
用されたある種の幻想的な空間の中で、いろいろな謎を秘め
た物語が展開されて行く。
そこで主人公は、ふと目覚めるとその空間に閉じ込められて
いた。そこは自動ドアなどは開かれるが、外には出て行けな
いのだという。そしてそこには他の住人もいて、彼らはやが
て来るはずのピアニストを待っているのだという。
その中には主人公の知人もいて、その知人は「ピアニストを
待ちながら」という演劇のリハーサルを始めるが、主人公は
その知人がすでに亡くなっていることに気づく。それでもア
ヴァンギャルドな演劇のリハーサルは続いて行く。
主演は、2019年5月26日付題名紹介『ザ・ファブル』とその
続編にも出演の井之脇海と、2018年5月13日付題名紹介『菊
とギロチン』などの木竜麻生。他に大友一生、澁谷麻美、斉
藤陽一郎らが脇を固めている。
村上春樹ライブラリーは早稲田大学の旧4号館を改築したも
のだそうで、この4号館という施設名は実際の場所は異なる
が、1969年の70年安保闘争時代にジャズピアニストの山下洋
輔が伝説のライヴを行ったことでも知られる場所。
それが題名の謂れにもなるようだが、その一方でこの題名は
サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」に由来して
いることは明らかで、本作もベケットの舞台劇と同様の不条
理劇となっている。
因にこの舞台劇に関しては2019年3月31日付題名紹介『柄本
家のゴドー』で見事な解題がなされていたものだが、本作で
はそこまでは踏み込まず、単にベケットの舞台劇に準えた物
語が展開されるというものだ。
従って観客はあまり深くは考えずに、単なる不条理劇として
味わえばいいものであって、それはそれとして楽しめる作品
になっている感じはした。
公開は10月12日より、東京地区は渋谷のシアター・イメージ
フォーラム、11月2日よりシネ・ヌーヴォ他にて全国順次ロ
ードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給を行う合同会社インディペンデント
フィルムスの招待で試写を観て投稿するものです。

『BISHU 世界でいちばん優しい服』
イタリアのビエラ、イギリスのハダースフィールドと並んで
世界三大ウール産地の一つと呼ばれる愛知県と岐阜県に跨る
尾州(尾張国)。その中心地、尾張一宮を舞台に知的障碍を持
つ女性の成長を描いた作品。
主人公は尾張一宮で織物工場を営む一家の次女、少し知的な
障碍はあるが高校の普通科に通っている。そんな少女の夢は
父の工場を継ぐことだ。しかし娘の将来を案ずる父親は工場
をたたんで現金で残すことも考えている。
一方、主人公には衣装デザインの才能があり、下校時に親友
の女子と立ち寄った神社で巫女の姿を観た主人公は、即座に
デザイン画を描いて見せる。そしてその画を手にした親友は
それを学内のコンテストに応募するが…。
果たしてそのデザインは、高校に併設のデザイン科の生徒を
差し置いてグランプリを獲得。親友は主人公に一宮市主催の
ファッションコンクールへの出品も提案する。しかしそこに
は父親との確執など様々な障害も存在していた。

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08月11日(日)
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