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On the Production
by 井口健二
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■ロール・ザ・ドラム!、犯罪都市 PUNISHMENT、カフネ/チョコレートコスモス
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『ロール・ザ・ドラム!』“Tambour battant”
スイスで多くの映画やTVシリーズを手掛けてきたというフ
ランソワ=クリストフ・マルザール監督が、1970年の同国で
の出来事を実話に基づいて描いたとされるコメディ作品。
舞台はスイスワインの名産地とされるヴァレー州の片隅にあ
る山間の村。その村には伝統のブラスバンドがあり、村主催
のオーディションで選ばれるのが団員の目標だ。しかし伝統
を重んじ過ぎる指揮者には反発も生じていた。
そこで団員の一部が村出身の音楽家に声を掛け、彼が指揮者
になるべく戻ってくるが…。革新的な新指揮者は女性や移住
者も団員に引き込もうとして旧指揮者と確執が生じる。しか
も2人は過去に旧指揮者の現妻を巡る恋敵だった。
そんな経緯でバンドは分裂し、それぞれがオーディションを
突破すべく鎬を削ることになるが、その闘いには折しも婦人
参政権を巡るスイスの社会情勢も絡んで、とんでもない事態
へとエスカレートしてしまう。
出演はフランス・マルセイユ出身でスイスの舞台などで活動
し、短編映画でマリオン・コティアールとの共演もあるとい
うピエール・ミフスッドと、1997年『ドーベルマン』などの
パスカル・ドゥモロン。
それに2017年11月紹介ドキュメンタリー『ZEN FOR NOTHING
〜何でもない禅〜』で禅の修行に挑んだサビーネ・ティモテ
オ。前作は印象に残った作品でこのような再会は珍しいが、
女優は本作で演技賞の候補にもなっている。
他に1998年『レッド・バイオリン』などのジャン=リュック
・ビドー、ボクサーとしても活動しているというアメリ・ペ
テルリ、舞台俳優で本作が映画デビューのジュゼッペ・オリ
ッキオ、2012年1月紹介『ドラゴン・タトゥーの女』などの
ヴェルナー・ビールマイアーらが脇を固めている。
映画を観ていてスイスでは1971年まで婦人参政権がなかった
という事実には少し驚いたが、国民皆兵で保守的な国家では
こういうことも起こり得るのだろう。その歴史が塗り替えら
れるときの物語だ。
そして映画では、音楽での対立からその社会状況の変化が炙
り出されて行く感じの描き方だが、監督の目線はどちらかと
言うと社会状況の変化の方に向けられていて、音楽的には少
し物足りなかったかな。
特に2つのバンドの演奏曲が、一方はスイスの永世中立を象
徴する「マリニューヌ行進曲」で、他方は北部イタリアの女
性労働者による抵抗の唄「さらば恋人よ」という辺りは、も
う少しその来歴などが描かれても良い気がした。
それと結末の演奏は、ぶっつけ本番でこれはないとも思わせ
るが、逆にそれが出来てしまうのは男性の指揮者など不要と
いう意味合いも含まれているのかな? そんなことも考えて
しまうものだった。
公開は10月4日より、東京地区は新宿シネマカリテ、アップ
リンク吉祥寺他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社カルチュアルライフの招待で試
写を観て投稿するものです。
『犯罪都市 PUNISHMENT』“범죄도시4”
2023年12月に第3作『犯罪都市 NO WAY OUT』 を紹介したば
かりのマ・ドンソク主演による刑事アクションシリーズ。そ
の第4弾。
前作の相手は日本のヤクザも絡む薬物犯罪組織だったが、今
回主人公らが挑むのはネットカジノ。これは一見IT絡みの
軟弱な敵役が想定されるが、そこは犯罪とアクションを切り
分けて、巧みにマ・ドンソクワールドが構築されている。
そしてそのアクションの眼目は短剣使いの元傭兵との対決。
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07月28日(日)
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