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On the Production
by 井口健二
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■ピアノ 2 PIANOS 4 HANDS、かづゑ的、青春ジャック
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『ピアノ 2 PIANOS 4 HANDS』“2 Pianos 4 Hands”
1996年にトロントで初演、1997年にはオフブロードウェイ、
その後は2004年東京など世界 200都市以上で公演され、カナ
ダ演劇史上最も成功したと言われる舞台劇。そのオリジナル
キャストによる最終公演を収録した2013年製作の作品。
開幕すると舞台の上には2台のグランドピアノが設置され、
そこに2人のピアニストが登場して演奏が始まるのだが…。
ここまでにもいろいろあって、客席は笑いの連続となる。
こうして始まった芝居は、一方が生徒となって他方の教師役
とのやり取りや、ライヴァル同士となっての争い、資格を得
るための試験官との駆け引きなど、ピアニストあるあるなの
かなと思わせる様々なシチュエーションが演じられる。
それが2台のピアノとタキシードを着た2人の男性だけで演
じられるのだが、さらにそこにはそれぞれの生徒の成長や栄
光、挫折なども描かれる。そしてその芝居に併せて2人の演
者による超絶な演奏が繰り広げられる。
企画、演出、出演はテッド・ダイクストラとリチャード・グ
リーンブラット。2人は共にカナダ出身で受賞歴も多数ある
というベテラン演技人。そんな2人が1994年にコンビを組み
本作の制作を開始。
そしてトロントの劇場で1995〜96年シーズンの演目に選出さ
れて1996年4月に初演。その舞台は初日から批評家に絶賛さ
れてチケットの売り切れ回が続出。同年のカナダ演劇界の各
賞を受賞したということだ。
僕自身が幼少期にピアノを習っていたことがあり、小学校の
高学年では家庭教師から音楽理論みたいなものも学んだ記憶
が甦って、特に本作の前半では生徒と教師とのやり取りなど
にニヤリとしてしまった。
僕の場合は別段プロを目指すというようなレヴェルではなか
ったが、転調などのテクニックは懐かしくもあったものだ。
そんなレヴェルで観ていて実に楽しめる作品だった。音楽に
親しむことの多い最近の若い人ならもっと楽しめるかな。
なお劇中ではバッハ、ベートーヴェン、モーツァルトから、
ショパン、グリーグ、シューマン、リスト、そしてビリー・
ジョエルまで、実に様々な楽曲が演奏される。それも聴きも
のの作品だ。
公開は2024年3月22日より、東京は築地東劇、大阪はなんば
パークスシネマ他にて、松竹ブロードウェイシネマの一環と
して全国順次限定ロードショウとなる。
『かづゑ的』
2019年2月24日付題名紹介『作兵衛さんと日本を掘る』など
の熊谷博子監督が、『長い道』(2011年刊、みすず書房)など
の著者宮浮ゥづゑさんに8年間、寄り添うように撮影された
ドキュメンタリー。
撮影場所は岡山県にある国立ハンセン病療養所長島愛生園。
1928年生まれのかづゑさんは10歳の時に入園し、以来ずっと
そこで過ごしてきた。そんなかづゑさんを描くドキュメンタ
リーの撮影は2016年に開始された。
その撮影初日、かづゑさんは入浴を撮影して欲しいと言った
という。その映像では片脚をひざ下から失った肢体や、指の
無い手なども克明に撮影されている。「いい格好していては
本物は出せません」。それがかづゑさんの主張だそうだ。
一方、かづゑさんは自らを「らい患者」と呼ぶ。それは「そ
の病は古来からあったものだし、別段ハンセンさんが作った
ものでもない」ということだ。確かに元々あった病気に細菌
を発見しただけの人の名を付けるのは変かもしれない。
そんなことを厳然と言い放つかづゑさんには、自分の人生に
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12月10日(日)
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