ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459881hit]
■第28回東京国際映画祭<コンペティション部門>
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
今回は10月22日−31日に開催された第28回東京国際映画祭で
鑑賞した作品について紹介します。
<コンペティション部門>
『さようなら』(2015年10月4日付で紹介済み)
『家族の映画』“Rodinný film”
両親の海外旅行中、学業などで居残った姉弟が飛んでもない
ことを引き起こすという有り勝ちなシチュエーションで始ま
る物語。そこに奔放な行動をする姉の女友達と、一応は良識
人らしい父親の弟が絡むのだが、そこからの展開が尋常では
ない。しかもそれがローラーコースター・ムーヴィのような
勢いで進んで行く。ただし物語自体は破綻もなく進むので、
観ていて極めて気持ちの良い作品だった。ペットの犬も大活
躍で、カンヌ映画祭ならパルムドッグ賞ものの作品だ。
『ぼくの桃色の夢』“我的青春期”
1990年代の中華人民共和国農村部を背景に、貧しい暮らしの
中から進学の道を進んで行く少年を描いた作品。と言っても
少年は同じ学校の年長の少女に憧れ彼女の関心を呼ぶことに
必死になるという、1981年生まれという監督自身の体験に基
づく作品のようだ。後半に多少の捻りはあるが、全体的には
有り勝ちな作品かな。因に英題名は“My Original Dream”
で、同時に出た漢語字幕では“我的春夢”となっていた。上
記の原題はフィルム面とポスターにもあるものだが…。
『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』“Born To be Blue”
1950年代にジャズトランぺッター/ヴォーカリストとしても
一世風靡したチェット・ベイカーの栄光と影を、2015年1月
紹介『プリデスティネーション』などのイーサン・ホーク主
演で描いた作品。著名な人物の伝記映画であり、劇中には名
曲とされる「My Funny Valentine」などもフィーチャーされ
て、ファンには堪らない作品と言える。往年の映画ファンに
はジャズファンと重なる人も多いようで、海外の映画祭でも
この種の作品の出品は多いもののようだ。
『残穢−住んではいけない部屋』
小野不由美原作ホラー小説の映画化で、来年1月30日の全国
公開が予定されている作品。実は本作までは映画祭前の事前
試写で観たので、先週中の紹介も考えたが、時間が足りずに
叶わなかった。作品はホラー映画を観馴れている者には虚仮
威かしもなく、ビクビクするものでもないが、お話の展開が
結構理詰めでマニア的には楽しめた。特に次から次へと提示
される怪異現象のオンパレードは、思わずニヤリとしてしま
うもの。ドラマもしっかりして中々の良作だ。
『ルクリ』“Roukli”
何処の国とも判らない自然の土地に暮らす若者たちを主人公
とした物語。しかしそこに爆音が響き始め、近隣の町が攻撃
されていることが知らされる。そして組織に追われていると
いう男たちが現れ、主人公たちの生活が脅かされる。物語は
寓意に基づくものと思われるが、それが何を語ろうとしてい
るのかが今一つピンと来なかった。しかし感覚的には何か突
き付けられるものもあった。後半には何かが瞬間見えた感じ
もして、その辺をもう一度確認したくもなった。
『地雷と少年兵』“Under Sandet”
第2次大戦後のデンマークの海岸線を舞台に、ナチスが設置
した200万個とも言われる地雷の撤去に従事するデンマーク
軍人と元ナチス少年兵とを描いた作品。デンマークは1932年
に戦時捕虜に関するジュネーブ条約を批准しており、本作に
描かれた行為は明らかな条約違反のものだ。しかし本作は実
話に基づく作品であり、本国ではタブーの出来事のようだ。
その経緯から本作はグランプリに値するとも思えたが、結果
は男優賞に止まった。でも見応えのある作品だ。
『スナップ』“SA-NAP”
卒業後は都会に出ていた女性が、同級生の結婚式出席のため
[5]続きを読む
11月01日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る