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On the Production
by 井口健二
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■「フランス映画祭2015」
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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今回は6月24〜29日に東京有楽町で開催される「フランス
映画祭2015」で上映される作品を紹介する。
今年の映画祭では、ドキュメンタリー作品とクラシックの
リストア作品の各1本を含めて全12本の上映され、事前にそ
れらの作品の試写が行われた。しかし今年は個人的に他の試
写スケジュールとの兼ね合いで全作品の鑑賞が困難となり、
取り敢えず日本公開が未定の作品を優先して鑑賞した。
* *
『夜、アルベルティーヌ』“L'Astragale”
1950年代、アルジェリア戦争の陰が色濃く漂う世相の中を、
疾風のごとく駆け抜けた実在の女性の姿を描く。
1957年7月、パリ郊外の刑務所から1人の女性が脱走する。
それは看守の目を盗んで高い塀を乗り越えたものだったが、
その際に足を骨折した彼女は道端に蹲るしかなかった。とこ
ろがそこに差し掛かった1台の車が彼女を助ける。
こうして脱走に成功した女性=アルベルティーヌは、彼女を
救ったチンピラ=ジュリアンに匿われ、戦時色の濃い不穏な
空気の流れるパリの街で生活を始める。しかしそれは表社会
の仕事には携われない過酷なものだった。
それでも自由の身となったアルベルティーヌは、ジュリアン
への思いを胸に懸命に人生を生き抜いて行く。
物語は、1937年9月にアルジェリアで生まれ、1967年7月に
死去した女性作家アルベルティーヌ・サザランの自伝的小説
「アンヌの逃走」を原作とするもので、映画の中でもロマか
もしれないとされる彼女の壮絶な人生が描かれる。
出演は、2012年9月紹介『虚空の鎮魂歌(レクイエム)』など
のレイラ・ベクティと、2013年公開『黒いスーツを着た男』
などのレダ・カティブ。カティブはビゴ・モーテンセンと共
演の『涙するまで、生きる』も公開中だ。
監督は、2012年5月紹介『灼熱の肌』などのフィリップ・ガ
レル監督の元妻で、2009年1月紹介『ベルサイユの子』など
に出演のブリジット・シィ。監督は第2作だそうだ。なお女
優としては2012年12月紹介『よりよき人生』でベクティと共
演している。
因に同じ原作からは1968年にも映画化があり(日本公開題名
『ある日アンヌは』)、死去から1年での映画化は本作では
あまり描かれていないものの、作家としては生前に成功して
いたということなのかな。
実は「フランス映画祭2015」ではもう1本、『ヴィオレット
(原題)』“Violette”という作品もフランスの女性作家を描
いたもので、シモーヌ・ド・ボーヴォワールと親交を持ち、
ジャン・ジュネらとも交流のあった作家の生涯は一見華やか
に描かれていた。
その華やかさもあってか、そちらの作品は日本公開が決定し
ているようだが、僕自身は本作の方をより好ましく感じたも
のだ。でもまあかなり破滅的な女性作家の人生は一般的には
受け入れ難いのかな。
映画祭での上映は、6月27日21:15からTOHOシネマズ日劇で
行われる。
『ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲』
“Qu'est-ce qu'on a fait au bon Dieu ?”
2014年4月にフランスで公開され、観客動員1200万人を突破
したというコメディ作品。
フランス・ロアール地方に暮らすヴェルヌイユ一家には4人
の娘がいた。その一家の当主ヴェルヌイユ夫妻は教会の礼拝
も欠かさない敬虔なカトリック教徒である。ところが姉3人
の結婚相手はユダヤ人とアラブ人と中国人だった。
従って一家にはユダヤ教とイスラム教と仏教が混在すること
となり、婿たちが集まるとその論争も絶えない。そんな喧噪
の続く中で、ついに末娘の婚約者はカソリック教徒と判明す
るのだが…。そこには大変な落し穴があった。
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06月14日(日)
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