ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459927hit]

■ガガーリン 世界を変えた108分、インターステラー、ミタケオヤシン
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『ガガーリン 世界を変えた108分』
  “Гагарин. Первый в космосе”
1961年4月12日、ボストーク1号で人類史上初の宇宙飛行に
成功したユーリイ・アレクセーエヴィッチ・ガガーリン少佐
の生涯を描いた作品。
ガガーリンの飛行時間は題名の通り108分であったとされ、
上映時間113分の映画では、その宇宙飛行がほぼ実時間で再
現されると共に、その間の地上での動きやさらにガガーリン
本人の生い立ちなどがカットバックで挿入される構成となっ
ている。
そこにはアメリカとの軍事競争で優位に立たんとするニキタ
・フルシチョフ書記長の様子なども描かれる。また両親との
生活や結婚生活、厳しい訓練の様子。そしてガガーリンとは
宇宙一番乗りを争っていたゲルマン・チトフとの間で、何故
ガガーリンが選ばれたかなども紹介される。
一方、ボストークの発射から帰還までの様子は、CGI−VFXも
絡めてかなり克明に描かれる。中でも帰還の様子は、今まで
漠然としか理解していなかった高空での射出という仕組みが
目の当たりに再現され、正しく死と紙一重の危険極まりない
方法であったことが明白に確認できた。
さらに帰還後では、当時のアーカイヴ映像などが紹介され、
その中には日本の様子なども垣間見られた。またその後は重
責に苛まれ、精神的に病んで行ったことはテロップのみでの
記述になるが、それでもそのことまで触れられているのは、
ソ連がロシアになったことを感じさせてくれた。
主演は、今年4月紹介『メトロ42』に出ていたというヤロ
スラフ・ザルニン。後半に出てくるアーカイヴの映像と比較
しても違和感がない程度に似た俳優が起用されている。他に
フルシチョフ書記長を演じた役者も良く似せていた。
監督はパヴェル・パルホメンコ。初監督のようだが、プロダ
クション・デザイナーとしては1980年代の後半からかなりの
本数を手掛けており、1960年代初頭を再現した本作でもその
手腕は発揮されていたようだ。
小学校の頃に学校から『地球は青かった』というドキュメン
タリーを観に行った記憶がある。しかし内容はほとんど覚え
ていない。因に「地球は青かった」という言葉は日本のみの
報道で実際にはそんな発言はないのだそうだ。
ただまあ打ち上げのシーンなどはあったと思うが、今回はそ
れがCGI−VFXも駆使して見事な迫力で描かれている。しかも
帰還の様子は、当時は当然その映像はなかったはずで、それ
も今回は目の当たりにすることができる。
アメリカの宇宙開発に関しては、1983年『ライトスタッフ』
などでかなり克明に紹介されたが、旧ソ連の宇宙開発などは
ほとんど知ることもできなかった。それが本作では見事に再
現されたもので、それが観られるだけでも満足の作品だ。
公開は12月20日から、東京はヒューマントラストシネマ有楽
町他で、全国順次ロードショウとなる。

『インターステラー』“Interstellar”
2010年7月紹介『インセプション』、2012年7月紹介『ダー
クナイト ライジング』のクリストファー・ノーラン監督が
満を持して放つ上映時間2時間49分のSF超大作。
物語の背景は、資源が枯渇し気候異変で植物も育たなくなっ
た近未来の地球。植物の消滅は酸素の再生を不可能にし、人
類の余命は計れるほどになっている。そんな中で主人公は、
農業機械の修理で何とか植物を守ろうとしていたが…。
ある日のこと彼の書斎の本棚が妙な形で崩れ、そこから地図
の座標を読み取った主人公がその地点に向かうと。果たして
そこには人類の未来を占う施設が隠されていた。そしてその
施設に迎えられた主人公は宇宙の果てへと旅立つ。

[5]続きを読む

11月09日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る