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On the Production
by 井口健二
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■トランセンデンス
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『トランセンデンス』“Transcendence”
2010年7月紹介『インセプション』や『ダークナイト』3部
作などの監督を務めたクリストファー・ノーランの製作総指
揮で、ジョニー・デップが主演する近未来サスペンス。
急速なコンピューター技術の発達を危惧して、先進的なAI
研究者へのテロが横行している時代が背景の物語。デップが
演じるのは同じく研究者の妻と共に政府の資金援助も受けた
開発に取り組む科学者。
ところが彼はテロの標的となり、撃ち込まれた銃弾によって
余命いくばくもない状況になってしまう。そこで彼の妻は研
究途上の技術を使って、彼の頭脳データをコンピューターに
アップロードしようとするが…。
今年4月紹介『her/世界でひとつの彼女』は、正しくAI
の話だったが、本作は人間の頭脳をコンピューターに移植す
るというもの。その存在は天才のひらめきとコンピューター
ネットワークを駆使して様々な奇跡を可能にする。
それは株式市場などの経済活動からナノテクノロジーなどの
科学技術まで、あらゆる分野を繫ぎ合わせて人類に多大なる
恩恵を与えるように見えるのだが。そこには大いなる危険も
潜んでいた。
共演は、2007年3月紹介『プレステージ』などのレベッカ・
ホール。『ダークナイト』シリーズにも出演のモーガン・フ
リーマンとキリアン・マーフィ。
さらに2006年5月紹介『ダ・ヴィンチ・コード』などのポー
ル・ベタニー、2013年8月紹介『ハウス・オブ・カード野望
の階段』などのケイト・マーラらが脇を固めている。
脚本は本作がデビュー作となるジャクスン・パグレン。因に
この脚本はハリウッドの「ブラックリスト」に載せられてい
たものだ。監督は長年ノーラン作品の撮影を担当し『インセ
プション』でオスカーを射止めたウォーリー・フィスター。
映像は間違いなく美しいし、映画の前半の展開などは息もつ
かせない感じで緊迫感もあり、それらは感心して観ていた。
しかし科学者の頭脳がコンピューターにアップロードされ、
ナノテクノロジーが登場する辺りから何となく題材が消化し
切れていない感じがし、特に結末は物足りなさが残った。
本作の本来のテーマは人間とコンピューターが神を目指して
戦うところにあると思うが、『2001年宇宙の旅』でのHAL
とボーマンの対決なども観てきた者としては、もう少しここ
には別の展開も期待したいところだった。
そこまでの展開が良かっただけに余計に残念にも感じられた
ものだ。
公開は6月28日より、全国一斉の拡大ロードショウとなる。
05月11日(日)
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