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On the Production
by 井口健二
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■くまをまつ、たべっ子どうぶつ THE MOVIE、雪解けのあと、リライト
で映画化したSF作品。
舞台は2009年の尾道。高校3年生の主人公のクラスに謎の転
校生がやってくる。その転校生はある小説が切っ掛けその時
代に憧れ、タイムリープでやってきた未来人だった。そして
その小説を書くのは君だと言い渡される。
しかもある事情から未来を覗くことになった主人公は転校生
から渡された薬を使って10年後に赴き、将来書く作品のタイ
トルだけ教えられるが…。それから10年後、その小説を上梓
して実家で待つ主人公の前に過去の自分は現れなかった。
果たして過去の自分に何が起きたのか、史上最悪とされるタ
イムパラドックスが開幕する。
出演は2019年12月紹介『一度死んでみた』などの池田エライ
ザ、舞台『Endless SHOCK』などの阿達慶、2024年10月紹介
『私にふさわしいホテル』などの橋本愛。
他に久保田紗友、倉悠貴、前田旺志郎、山谷花純。さらに長
田庄平、マキタスポーツ、町田マリー、津田寛治、尾美とし
のり、石田ひかりらが脇を固めている。
実は原作は読んでいないのだが、今回ハヤカワ文庫では映画
からのノヴェライズ版も刊行されるとのことで、映画は原作
からは多少離れて描かれているようだ。それにしてもとんで
もないタイムパラドックスでこれは見事だ。
上田誠の脚本は2005年作も見事だったが、タイムパラドック
スに関しては自家薬籠中の物にしている感じもする。そこに
SFファンなら思わずうなる擽りも鏤めているのだから、こ
れは本物と言えるのだろう。
何しろ舞台が尾道という辺りからSFファンなら先は見えて
いるように思えるのだが、そこからの展開がこちらの予想の
一歩も二歩も先を行っているもので、いやはや参りましたと
いう感じになっている。
ただしちょっとマニアック過ぎるのが、SFファンとしては
嬉しい反面、心配にはなってしまうかな。杞憂であって欲し
いとは思うのだが。ただ過去の人間が現代に現れてドタバタ
を繰り広げるようなものとは一線を画した作品だ。
公開は6月13日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社バンダイナムコフィルムワーク
スの招待で試写を観て投稿するものです。

04月06日(日)
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