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On the Production
by 井口健二
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■ピアニストを待ちながら、BISHU 世界でいちばん優しい服、ほなまた明日、とりつくしま
夫の愛用するトリケラトプス柄のマグカップに憑りつく。そ
して夫と思い出いっぱいの部屋を見守るが、その部屋に新し
い女性が現れ…。
2編目は「あおいもの」。幼稚園児だった少年が憑りついた
のは公園の青いジャングルジム。そこは母親がよく連れて来
てくれた場所だ。そして少年は赤ん坊の妹の成長を見続ける
ことになるが…。
3編目は「レンズ」。孫に買ってあげたカメラに憑りついた
のは、孫が観る風景を共有したいためだった。ところが孫は
カメラを中古屋に売ってしまう。しかしカメラを買った老人
がカメラを持って…。
最後は「ロージン」。亡くなった母親が野球少年の息子の中
学生最後の雄姿を見るため、ピッチャーズマウンドに置かれ
たロージンバッグの中身に憑りつく。それは徐々に風に乗っ
て消えて行くものだったが…。
それぞれがちょっと笑えるアルアルだったり、切なさだった
り、いろいろな感情の行き交う素敵な4編が描かれる。
出演は2023年8月紹介『めためた』などの橋本紡、長編は初
という櫛島想史、2019年5月12日付題名紹介『よこがお』な
どの小川未祐、オーディションで選ばれた楠田悠人、2018年
7月29日付題名紹介『止められるか、俺たちを』などの中澤
梓佐。
さらに劇団円会員の磯西真喜、舞台俳優及び劇団主宰の柴田
義之、2015年『海街 diary』などの安宅陽子、TVシリーズ
『おいしい給食season 2』などの志村魁。そして原作小説の
ファンだという小泉今日子が重要な役柄で登場する。
なお監督は、2021年『ほとぼりメルトサウンズ』が各地の映
画祭で上映されるなど、実績を積んだ人だ。
本作を観ていて1999年の是枝裕和監督作品『ワンダフルライ
フ』を思い出した。その作品も人の死後の世界で生前との因
果が描かれていたものだが、本作ではより強く現実との絡み
が描かれて、それも素晴らしい作品になっていた。
公開は9月6日より、東京地区は新宿武蔵野館他にて全国順
次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ENBUゼミナールの招待で試写を
観て投稿するものです。
08月11日(日)
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