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On the Production
by 井口健二
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■怨泊 ONPAKU、うんこと死体の復権、新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!、助産師たちの夜が明ける、クレオの夏休み
クションズの招待で試写を観て投稿するものです。
『助産師たちの夜が明ける』“Sages-femmes”
2012年6月10日付「フランス映画祭2012」で紹介『愛につい
て、ある土曜日の面会室』などのレア・フェネール脚本/監
督で、2023年の第73回ベルリン国際映画祭にて審査員特別賞
を受賞した作品。
物語の中心は5年間の研修を終えて公立病院の産科病棟に勤
務することになったコーカシアンとアフリカンスの2人の若
い女性。その初出勤日から映画は始まる。そこではまず配属
先が決まるが、差別はないが見た目の判断はあるのかな?
そんな中で2人の奮闘が始まるが、そこでの医療は単に医学
的な見地だけでなく、肌の色や言語、宗教、人生観など様々
な状況に応じた対処が要求されるものだ。そして機材や人的
なトラブルも発生する。
さらに勤務体制への不満など、現代の助産師たちを取り巻く
状況が克明に綴られて行く。
出演は、1994年生まれフランス国立芸術演劇学校出身のエロ
イーズ・ジャンジョーと、1996年生まれ本作で注目されて以
後にカンヌ国際映画祭・監督週間オープニング作品にも出演
したカディジャ・クヤテ。
他に1978年ベルギー生まれのミリエム・アケディウらが脇を
固めている。
また本作には多くの現役の看護師や助産師も出演しており、
監督自身の体験からワークショップなどを開いて助産師の立
場を綿密に調査して作品に臨んだとのこと。複数の看護師は
編集にまで立ち会ったそうだ。
なお脚本は『愛について』にも協力したカトリーヌ・パイエ
との共同執筆のものだ。
僕自身が長女の出産に立ち会った経験があるので、分娩室の
シーンなどには記憶も甦ったが、日本とフランスでは状況も
かなり異なることも実感した。フランスでは分娩費用は全て
国費だそうで、そんな影響もあるのだろう。
とにかく貧富や人種や生活環境など様々な状況の異なる妊産
婦が集まっているのだから、その混乱ぶりは極限状態だ。そ
んな状況の中で奮闘する助産師の仕事ぶりが見事に描かれた
作品だ。そして出産の感動も共有される。
さらに日本でも言われる看護師、助産師の過酷な労働体制へ
のメッセージも見事に描かれている作品でもある。
公開は8月16日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社パンドラの招待で試写を観て投
稿するものです。
『クレオの夏休み』“Àma Gloria”
2023年カンヌ国際映画祭・批評家週間オープニング作品に選
ばれたマリー・アマシュケリ監督の長編デビュー作。
主人公は幼い頃に母親を亡くした5歳の少女。父親は再婚は
せず、少女は経済移民としてフランスにやってきたナニーに
よって育てられた。ところがそのナニーが家庭の事情で帰国
してしまう。
そんな少女の許にナニーからアフリカの家に招待するという
手紙が届き、少女は1人でナニーが暮らす国を訪ねることに
なるが…。そこには生活習慣の違いなど様々なギャップが存
在していた。
出演は、キャスティングディレクターが公園で遊んでいると
ころを見掛けてスカウトしたという撮影時5歳半だったルイ
ーズ・モーロア=パンザニと、アフリカ西岸の島嶼国家カー
ボベルデ出身で、ナニーのリサーチ中に見出されたイルサ・
モレノ・ゼーゴ。
他にミュージシャンでもあるアルノー・ルボチーニ。さらに
は現地でスカウトされたアブナラ・ゴメス・バレーラ、フレ
ディ・ゴメス・タバレス、ドミンゴス・ボルゼス・アルメイ
ダらが脇を固めている。
試写の後、会場では主に女性の声で「女の子が可愛い」とい
う声が聞こえていたようだ。確かに異文化の中で奮闘する幼
気な少女の姿は感動を呼ぶものになっていた。とは言うもの
のそこに至る過程は良いのかな。
僕自身が娘を育てた父親として、このような状況に娘を送り
込むことができるかどうかには疑問が湧く。それはナニーを
信頼してということだろうが、異国のあまりにも違う環境の
中に5歳の娘を送り込むことは危機感がなさすぎる。
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06月02日(日)
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