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On the Production
by 井口健二
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■アップグレード、国家が破産する日(宮本から君、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・W、幽玄、ドリーミング村上春樹、サラブレッド)
マ歌舞伎の特別編。佐渡の鬼太鼓座を基に1981年にベルリン
でデビューした和太鼓集団・鼓童と、21世紀に入ってその演
出指導を行ってきた坂東玉三郎が直接コラボレーションした
作品。その来歴と共に「羽衣」「道成寺」「石橋」の3演目
が収録されている。それぞれは物語紹介のテロップに続けて
玉三郎と鼓童によるパフォーマンスが行われるもの。ただし
「羽衣」に関しては優美な舞に鼓童は合わせ難かったかな。
他の石見神楽の大蛇が登場する「道成寺」と、連獅子登場の
「石橋」は舞踊と鼓童のパフォーマンスとの融合に見応えが
あったが…。因に舞踊の振り付けは花柳寿輔で、歌舞伎舞踊
の主流である藤間流の踊りとは一味違う感じになっている。
それも見どころと言えそうだ。とは言え「羽衣」で漁師が艪
を漕ぐ手振りは少し気になった。公開は9月27日より、東京
は築地東劇他で全国ロードショウ。)
『ドリーミング村上春樹』“Dreaming Murakami”
(2010年に制定されて隔年に贈賞されるデンマークのハンス
・クリスチャン・アンデルセン文学賞を、2016年に受賞した
村上春樹。その作品を20年以上に亙って同国に紹介し続けて
いる翻訳家メッテ・ホルムの姿を追ったドキュメンタリー。
デンマーク生まれの女性翻訳家はゴブラン織に憧れてフラン
スに留学、そこで川端康成の作品に出会い1983年に初来日。
日本語を学ぶと共に、日本を心の故郷のように過ごしてきた
という。そして1995年の来日時に『ノルウェイの森』を読ん
だことから村上春樹の翻訳を手掛けることになる。そんな彼
女が多元的な意味を持つ日本語の翻訳に腐心する姿と共に、
村上原作の「かえるくん、東京を救う」の主人公をVFXで
画面に登場させて、翻訳家が村上ワールドを掘り下げて行く
過程に、かえるくんとみみずくんの戦いがオーヴァーラップ
される。この構成も見事だった。公開は10月19日より、東京
は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『サラブレッド』“Thoroughbreds”
(幼馴染みだが少し疎遠だった2人の少女が再会し、それが
恐ろしい犯罪に繋がって行くサスペンス作品。主人公は周囲
との人間関係をうまく保てない少女。そんな少女が、大きな
屋敷に住む少女の許に学びの一環としてやってくる。そして
2人は、互いに反発したりもしながら一緒の時間を過ごすよ
うになるが…。屋敷に住む少女が抑圧的な継父を嫌っている
ことが判った辺りから、2人の間に恐ろしい計画が芽生え始
める。出演は2018年『レディ・プレイヤー1』などのオリビ
ア・クックと、2017年5月紹介『ウィッチ』などのアニヤ・
テイラー=ジョイ。それに本作が遺作となったアントン・イ
ェルチン。脚本と監督はニューヨークを拠点に舞台脚本家、
演出家として活動しているコリー・フィンリー。本作の脚本
も元々は舞台用に執筆したが、魅力的な出演者を得て映画監
督デビューを果たしている。公開は9月27日より、東京は渋
谷シネクイント他で全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
08月25日(日)
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