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On the Production
by 井口健二
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■満ち足りた家族、ステラ/ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女、ドリーミン・ワイルド名もなき家族のうた
シューティングスター賞受賞のヤニス・ニヴーナー。
他に2016年4月紹介『帰ってきたヒトラー』などのカッチャ
・リーマン、2023年5月紹介『ナチスに仕掛けたチェスゲー
ム』などのルーカス・ミコ。
さらに2011年5月紹介『ハンナ』などに出演のジョエル・バ
ズマン、舞台出身で本作が映画デビューのベキム・ラティフ
ィ。そして『帰ってきたヒトラー』に出演のゲルティ・ツィ
ントらが脇を固めている。
監督と共同脚本は、2022年にパリ同時多発テロ事件を扱った
『ぼくは君たちを憎まないことにした』でドイツ映画賞脚本
賞授賞のキリアン・リートホーフ。脚本は同作でも組んだチ
ームとの共同のものだ。
映画の物語には史実に基づくとされる同名の書籍なども在る
ようだが、監督らはさらに終戦後にステラが旧ソ連で訴追さ
れた裁判の記録などもリサーチして脚本を練り上げている。
そこには社会に翻弄された若い女性の姿が描かれる。
とは言うものの、内容的には特に後半は彼女の手口を並べ立
てるだけで、彼女自身の葛藤などはほとんど描かれない。そ
の辺は1983年にメリル・ストリープがオスカー主演女優賞を
獲得した『ソフィーの選択』などとは異なる。
でもまあそれくらいに彼女の悪行は認められないのだろう。
それは映画の結末の描き方などにもその思いが集約されてい
るようにも感じられた。つまりステラを悪女として描こうと
いう魂胆が見える作品だ。
ただそのお陰で、映画の中でも彼女以外の密告者は描かれる
し、ユダヤ人社会が密告社会のように描かれてしまっている
のは意図的なのかな? ナチスの中にユダヤ人が多く紛れ込
んでいたというのは周知だが。
公開は2025年2月7日より、東京地区は新宿武蔵野館他にて
全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社クロックワークスの招待で試写
を観て投稿するものです。

『ドリーミン・ワイルド名もなき家族のうた』
                   “Dreamin' Wild”
2011年カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝いた『ツリー
・オブ・ライフ』のプロデューサーとしても知られるビル・
ポーラッドの脚本・監督で、2014年11月紹介『インターステ
ラー』などのケイシー・アフレックを主演に迎えて描いた夢
世界=アメリカの音楽シーンにおける奇跡の物語。
主人公は、妻や仲間と共にバンドを組み場末のカフェで客の
求めに応じた音楽を演奏や歌唱するなどして日銭を稼いでい
る売れないミュージシャン。そんな彼が久し振りに親の家を
訪れた時、とある朗報が届けられる。
それは30年ほど昔に彼が兄と共に演奏し録音したアルバムが
発掘され、話題になっているということだった。そしてその
アルバムが再版され、やがて彼らに再デビューの機運が盛り
上がってくるが…。
実は30年前に発売も当時は誰にも見向きもされなかったその
アルバムの成立には、家族を巻き込んだとんでもない不運の
記憶が絡みついていた。そんな家族の歴史が描かれて行く。
なおこの物語は実話に基づくものだ。
共演は2007年12月紹介『テラビシアにかける橋』などのズー
イー・デシャネルと、2013年1月紹介『ジャンゴ繋がれざる
者』などに出演のウォルトン・ゴギンズ。それに2012年1月
紹介『ファミリー・ツリー』などのボー・ブリッジス。
さらに主人公らの若き日を、2018年8月12日付題名紹介『ク
ワイエット・プレイス』などのノア・ジュプと、2017年10月
1日付題名紹介『ITイット“それ”が見えたら、終わり。』
などのジャック・ディラン・グレイザーが演じている。
物語としては息子の才能を信じた父親が私財をなげうって支
援し、その結果で没落してしまうのだが、その規模がかなり
でかい。しかも父親がそのことに全く後悔していないという
のは清々く、だから余計に大逆転が素晴らしいのだろう。
ただ原因には悪徳なプロモーターの存在などもあって、一概
にアメリカンドリームと言うけれど、それは成功した人たち
だから言えるもの。他にもこんな人たちは沢山いるのかな?

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11月17日(日)
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