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On the Production
by 井口健二
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■ロール・ザ・ドラム!、犯罪都市 PUNISHMENT、カフネ/チョコレートコスモス
そこまでに殺人鬼の傭兵による殺人シーンを羅列して残忍さ
を際立たせるが、それが肝心の対決では傭兵のナイフが封じ
られている設定から、見事な対決に展開される。
いやはやシリーズも4作目となるとこの辺の構成も見事と言
える展開だった。もちろんそれはマンネリにも繋がるものだ
が、そのマンネリこそがシリーズの風格。そんなことも思わ
せてくれる作品だった。
共演は、2020年5月紹介『悪人伝』でもドンソクと対決した
キム・ムヨルと、2017年12月10日付題名紹介『コンフィデン
シャル/共助』などのイ・ドンフィ。それに第1作と第2作
にも登場したパク・ジファンが再登場している。
監督は、前作までのアクション監督を務めたホ・ミョヘンが
本編デビューを飾っている。
上ではマンネリと書いたがシリーズでは各回に登場する敵役
の武術が異なることが変化になっており、それに対峙する主
人公が全くぶれずに鉄拳のみと言うのも面白味なのだろう。
それは前作で剣戟に参加しなかった理由とも言える。
その辺の潔さがシリーズの魅力とも言える作品だ。なおシリ
ーズとしては第5〜8作の脚本開発が進められており、スピ
ンオフの製作も検討されているとのこと。正にマ・ドンソク
・シネマティックユニヴァース(MCU)が形成される。
但し、真にシネマティックユニヴァースを形成したいなら、
既存の作品の世界観の取り込みも期待したいところで、例え
ば2017年7月紹介『新感染 ファイナル・エクスプレス』を
ここに取り込めたら…最強になりそうだ。
いずれにしてもしばらくは楽しめるシリーズになってきた。
公開は9月27日より、東京地区は新宿ピカデリー他にて全国
ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ
オの招待で試写を観て投稿するものです。
『カフネ』『チョコレートコスモス』
大阪芸術大学在学中の杵村春希監督が2023年1月に完成した
66分24秒の初長編作品と、2024年1月完成14分33秒の短編作
品が同時公開される。
上映は短編の『チョコレートコスモス』が先に行われ、それ
なりに付き合ってきた男女が大学卒業を控えて登山にやって
きた様子がスケッチ風に描かれる。それはそれなりに捻りの
ある作品だが、まあそれだけかな。正に短編作品だ。
出演は松本いさなと竹内啓。脚本は長編と同じく千葉美雨が
手掛けている。
そして長編の『カフネ』は三重県熊野市でオールロケーショ
ン撮影の行われた作品。高校生ながら妊娠してしまった主人
公とその周囲の人たちの反応が、海辺の町の豊かな自然と共
に描かれる。
こちらは長編なので一応内容についても評価すると、主人公
を含めた登場人物たちが全員実に頭が良くて、物静かに話が
進むのは監督の狙いなのかな。ただこれだけだと如何にもド
ラマがない。
もっと修羅場が欲しい訳ではないけど、もう少し捻りはあっ
て良かったかな。いかにも淡々と進む物語は感動も薄いもの
になってしまった。それは66分という上映時間もあるのだろ
うが、そこにドラマを盛り込むのが監督の務めだろう。
とは言え、若年者の妊娠というのは既にいろいろな作品があ
る訳で、そこに新規性というのはかなり難題かも知れない。
それでも敢えて挑戦した気概は買う。でもまあ初長編の習作
ということで評価するしかないかな。
主演は2022年コブクロのMVへの出演が話題になったという
山武演タ。さらに太志、短編にも出演の松本いさな。他に木
下隼輔、澤真希、渡辺綾子、杵村宙郎、宝塚歌劇団出身の桜
一花、入江崇史らが脇を固めている。
公開は10月12日より、東京地区はポレポレ東中野他にて全国
順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ハルキフィルムの招待で試写を
観て投稿するものです。
07月28日(日)
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