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On the Production
by 井口健二
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■兎たちの暴走、BAD LANDS バッド・ランズ、ジャン=リュック・ゴダール反逆の映画作家、ダンサー イン Paris、こいびとのみつけかた
安藤の役柄には義賊的な趣もあり、そんな彼女がかなり小気
味よく障壁を潜り抜けて行く、そんなところも見ものな作品
だ。
共演は、2017年7月紹介『ナミヤ雑貨店の奇跡』などのHey!
Say!JUMP山田涼介、2023年4月紹介『水は海に向かって流れ
る』などの生瀬勝久、黒川博行の直木賞受賞作で2016年12月
11日題名紹介『破門』に出演の宇崎竜童。
他に2022年6月紹介『川っぺりムコリッタ』などの江口のり
こ、舞台出身で原田監督の前2作にも出演の吉原光夫、大阪
出身で劇団「突劇金魚」主宰のサリngROCK、2023年3月紹介
『忌怪島/きかいじま』などの大場泰正。
さらに淵上泰史、天童よしみ。他にも重要な出演者はいるが
情報解禁前となっているものだ。
実は原作では安藤と江口の役柄は男性。しかし脚本も執筆の
原田監督は原作を読みながら女性にすることを考えていたと
のこと。しかも原田監督作品で女性の主人公はほぼ初めてだ
そうだが、そんな逆転の発想が見事な作品を作っている。
そしてそれを演じ切った安藤サクラの演技も、見事に作り上
げられたものになっている。安藤と原田監督は初顔合わせの
はずだが、何か特別な化学反応が生じたようだ。とにかく小
気味よく面白く作られた作品になっていた。
公開は9月29日より、全国ロードショウとなる。

『ジャン=リュック・ゴダール反逆の映画作家』
              “Godard, seul le cinéma”
2022年9月13日に91歳で他界したフランスの映画監督の生涯
を 105分に纏め、2022年9月10日まで開催のヴェネチア国際
映画祭にて上映されたフランス10.7 Production 製作による
テレビドキュメンタリー。
僕ら団塊の世代の人間にとって、ゴダールの名前はちょっと
特別かな。多分僕が最初に観た作品は1965年製作の『気狂い
ピエロ』で、最後は2014年10月紹介『さらば、愛の言葉よ』
だと思うが、その間に実に様々な映画を観させてくれた。
そんな監督は生涯で 140本の作品を発表しているそうで、当
然本作ではその全てが網羅されているものではないが、長編
デビュー作の『勝手にしやがれ』に始まる多くの作品が、出
演者や評論家らの発言を含めて紹介される。
その中には当時のヌーヴェルヴァーグが、時流に載せた流行
作品だと看破する発言もあり、当時は「新しい波」として信
奉していた身としては心が騒ぐところでもあった。それはま
あ後の本人の発言を見れば明らかでもあったが。
その他にも1968年のカルチェラタン闘争での街頭デモにアン
ナ・カリーナと共に参加している様子や、同年のカンヌ国際
映画祭を開催不能にした演説なども、当時のニュース映像を
使って紹介されている。この辺は懐かしくもあった。
本作は、そんなこんなを実に手際よく纏めたものであって、
逝去によって回顧上映なども展開されている状況の中では、
ゴダールに新たに触れる人たちにとって格好の入門編と言え
る作品になっている。
ただそれなりに同時代を生きてきた人間としては、かなり寂
しさも湧いてくるかな。特に逝去が自ら選んだ安楽死と知っ
た後では、本当の理由は別にあるとしても、悲しく冥福を祈
りたくなる作品だった。
脚本・監督・編集は、シャンソン歌手のバルバラやジャン=
ピエール・メルヴィル監督、歌手・俳優のモーリス・シュヴ
ァリエのドキュメンタリーなども手掛けるシリル・ルティ。
本作はゴダール監督の全承認を得た作品だ。
公開は9月22日より、東京地区は新宿シネマカリテ、シネス
イッチ銀座、渋谷のユーロスペース、アップリンク吉祥寺他
にて全国順次ロードショウとなる。

『ダンサー イン Paris』“En corps”
2006年4月紹介『ロシアン・ドールズ』などのセドリック・
クラピッシュ監督が、パリ・オペラ座とブルターニュのシャ
トーを舞台に若きダンサーの成長を描いたドラマ作品。
主人公はオペラ座でエトワールを目指す若い女性。ところが
主演の舞台で出番の合間に目撃したのは、恋人が別の女性と
キスを交わしている姿だった。それに動揺した彼女は次のダ

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07月30日(日)
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