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On the Production
by 井口健二
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■アップグレード、国家が破産する日(宮本から君、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・W、幽玄、ドリーミング村上春樹、サラブレッド)
その危機を巡る政府内の動きを中心に、事態を素早く察知し
て自らの利益誘導に動く経済アナリスト、そして危機のあお
りをもろに受ける町工場の経営者など、物語は多角的に展開
される。
出演は2013年『観相師』などのキム・ヘス、2019年1月13日
題名紹介『バーニング』などのユ・アイン、2010年10月紹介
『黒く濁る村』などのホ・ジュノ。他に2019年8月紹介『王
宮の夜鬼』などのチョ・ウジン、さらにヴァンサン・カッセ
ルらが脇を固めている。
監督は本作がデビュー2作目のチェ・グクヒ。脚本も新鋭の
オム・ソンミンが執筆している。
脚本は、1997年当時に非公開だった対策チームの存在が近年
明らかにされ、その事実に基づいて描かれているものだが、
内部での会話などの記録は残されておらず、そこは全て脚本
家の創作とのことだ。しかしそこにはそうあって欲しかった
という希望も込められているとのこと。
その中には日本への支援要請の検討が言下に否定されるシー
ンなどもあり、日本人としてはその真偽も知りたいところだ
が、同時に韓国人の複雑な気持ちも描かれているようだ。
それにしても、2018年3月11日題名紹介『タクシー運転手』
から2018年7月紹介『1987、ある闘いの真実』、2019年5月
紹介『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』
など、近年の韓国社会派映画には見応えの感じられる作品が
多くある。
それは2008年3月紹介『光州5・18』辺りから続いている
ものでもあるが、そこには映画人の信念も感じ取ることがで
きるものだ。そしてこの映画の結末では、2018年平昌オリン
ピックを終えた現在にも警鐘を鳴らしている。
公開は11月8日より、東京はシネマート新宿、大阪はシネマ
ート心斎橋他にて全国順次ロードショウとなる。

この週は他に
『宮本から君へ』
(1992年に小学館漫画賞青年一般部門を受賞した新井英樹の
原作から2018年に連続ドラマ化された作品を、監督、脚本の
真利子哲也、主演の池松壮亮、蒼井優もそのままに映画化。
文房具メーカーの営業マンの男性が同じ職場の年上の女性と
結ばれるが、女性の元カレや営業先の社長の息子らに振り回
される。それでも必死に彼女を守って行くさまが描かれる。
共演は井浦新、一ノ瀬ワタル、柄本時生。他に星田英利、古
舘寛治、ピエール瀧、佐藤二朗、松山ケンイチらが脇を固め
ている。そんなに酒が弱いのならいっそ飲むなと言いたくも
なるが、そんな失敗に上乗せして非力な主人公が暴力上等の
ラガーマンに立ち向かって行く姿が面白いのかな。それにし
ても、今の時期にこれを公開してしまうのもいろいろな意味
で凄いことだ。因に題名はダニエル・キース原作映画の邦題
『まごころを君に』から採っているそうだ。公開は9月27日
より、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』
              “C'era una volta il West”
(1969年に『ウエスタン』の邦題で短縮版が公開されたマカ
ロニ・ウエスタンの巨匠セルジオ・レオーネの集大成とも言
える作品が、邦題も変えて2時間45分のオリジナル版で再上
映される。大陸横断鉄道が西へ西へと延伸されている時代。
谷間に建つ一軒家で一家が惨殺される。それは父親と長男、
長女、それに幼い末弟も皆殺しという残忍なものだ。しかも
その日は父親が新たな妻を迎える婚礼の日だった。こうして
遅れてきた新妻は一家の葬儀が最初の仕事となるが…。1人
残された彼女の耳にハーモニカの音色が聞こえ、現れた男は
殺人者の後を追い始める。出演は、クラウディア・カルディ
ナーレ、ヘンリー・フォンダ、ジェイスン・ロバーズ、チャ
ールズ・ブロンスン。原案をレオーネとダリオ・アルジェン
ト、それにベルナルド・ベルトルッチが手掛け、西部開拓の
終わりを告げる物語が描かれる。公開は9月27日より、東京
は新宿ピカデリー他で全国順次ロードショウ。)

『シネマ歌舞伎・幽玄』
(最近では2019年3月31日題名紹介『鷺娘』を紹介したシネ

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08月25日(日)
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