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On the Production
by 井口健二
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■東京喰種 トーキョーグール、新感染 ファイナル・エクスプレス
脚本は2013年『ファイ 悪魔に育てられた少年』などのパク
・チュソク。監督は社会派アニメーション作家として知られ
本作で実写長編デビューとなるヨン・サンホ。なお同監督で
本作の前日譚となる長編アニメーション『ソウル・ステーシ
ョン パンデミック』も近日日本公開予定になっている。
所謂ゾンビものとされる作品だが、ジョージ・A・ロメロ型
ではなく、『バイオハザード』系と言える作品だ。基本走り
回るゾンビは好きではないが、『バイオハザード』系はそれ
とは別物。そして本作はその中でも最速と言える。何たって
新幹線に乗っているのだ。
その新幹線は、JRでは絶対に協力不可と思われるが、韓国
では全面協力で、車内撮影は基より、映画の後半では建設中
と思われる路線上での撮影なども敢行されている。映画に対
する支援体制の充実も感心させられる作品だ。
それにしても走る密室というシチュエーションが巧みに活か
された作品で、様々な設定などにも無理がなく、特に感染者
の中をすり抜けて行くサスペンスや、当然感染者を乗せたま
ま終点に行ってはならない展開など、正しく一級品と言える
エンターテインメントになっている。
公開は9月1日より、東京は新宿ピカデリーほかにて、全国
ロードショウとなる。
この週は他に
『わたしたち』“우리들”
(小学生の女児を主人公に、友情や苛め、嫉妬、裏切りなど
感情の縺れと葛藤の中で成長して行く姿を描いた韓国映画。
学校ではいつもひとりぼっちだった11歳の少女は、夏休みに
引っ越してきた転校生と親しくなる。しかし新学期が始まる
と変化が訪れる。何処の国に行っても子供の抱える問題は共
通するのだろう。本作は昨年の東京フィルメックスで上映さ
れ観客賞を受賞しているもので、作品の普遍性が日本の観客
にも理解されたようだ。本作が長編デビューのユン・ガウン
監督は、2008年4月紹介『シークレット・サンシャイン』な
どのイ・チャンドンの愛弟子だそうで、問題意識もしっかり
持った作品に仕上げられている。公開は9月、東京はYEBISU
GARDEN CINEMA他で、全国順次ロードショウ。)
『50年後のボクたちは』“Tschick”
(ドイツ国内で220万部以上を売り上げたという児童文学の
ベストセラーを、2010年11月紹介『ソウル・キッチン』など
のファティ・アキンが映画化。家で問題を抱える主人公と、
ロシアから来た変わり者の転校生。学校で浮いた存在の2人
が夏休みにおんぼろ車で旅に出る。時代背景は2016年だが、
『スタンド・バイ・ミー』のドイツ版といった感じかな。旅
先で起きるいろいろな出来事が、連れになった女性との淡い
恋心など少年たちを成長させて行く物語。これ現代なの?
という部分もあるが、50年後に思いを馳せる気持ちが『スタ
ンド…』とは違った情感を与えてくれる。公開は9月16日よ
り、東京はヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国順次
ロードショウ。)
『いつも心はジャイアント』“Jatten”
(難病を患いながらも懸命に生きる青年を主人公にしたスウ
ェーデン発のヒューマンドラマ。頭蓋骨が変形する病と紹介
されるが、映画を長く観てきた者には、1980年デヴィッド・
リンチ監督の『エレファント・マン』が思い浮かぶ。多分同
じ病なのだろうが、描かれる差別や憐れみを超えた友情は、
いつの時代にも変わらない。本作ではそこにペタンクという
球技を絡めて感動的に盛り上げるが、その競技のルールを知
らない自分としては多少戸惑いも生じたかな? ただしこの
競技は以前に日本のテレビドラマにも登場したそうで、知ら
ない方が悪いのかもしれないが…。本国の映画賞では作品賞
など3冠に輝いたそうだ。公開は8月19日より、東京は新宿
シネマカリテ他にて全国順次ロードショウ。)
『オラファー・エリアソン視覚と知覚』
“Olafur Eliasson: Space Is Process”
(デンマーク生まれでベルリンに居住するアイスランドの芸
術家が2008年に1550万ドルを費やして4か月間ニューヨーク
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07月02日(日)
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