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On the Production
by 井口健二
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■「フランス映画祭2015」
出演は、2005年11月紹介『エンパイア・オブ・ザ・ウルフ』
の脚本家に名を連ねるクリスチャン・クラビエと1998年公開
『ディディエ』などのシャンタル・ロビー。ヴェテラン2人
の脇を若手が囲んでいる感じの作品だ。
脚本と監督は、1995年にジャン・レノが主演した『ボクサー
最後の挑戦』などの脚本家フィリップ・ショヴロン。
僕の子供の頃には、合衆国は人種の坩堝と言われ、カナダは
人種のモザイクと言われた。共に移民の国であるこの2国が
人種問題の典型国であったものだ。しかし人的交流が飛躍的
に発達した21世紀ではこれらはどう表現されるのだろう。
特にアメリカ合衆国で人種が融合しているとは到底思えない
し、20世紀には単一民族国家と言い張っていた日本だって、
今ではそうは言いきれまい。この映画を観ながらふとそんな
ことを考えていた。
そんな目でこの映画を観ていると、文化の異なる3人の婿た
ちが互いに論争を繰り広げながらも巧みに融和し、協同して
行く姿が素晴らしく、社会もこうあるべきだという道筋が見
事に描かれている。
勿論そこには文化の隔たりの中での確執や行き違いも数多く
描かれているが、結局それを克服するのは人の英知だと気づ
かせてもくれるものだ。そしてそれが巧みなユーモアの中で
表現されている。
という訳でこの映画は、現代日本人も学ぶべき点の多い作品
なのだが、残念ながら他国人の意見に耳を塞ぎたがる日本で
は受け入れられないと判断されたのか、この作品の日本公開
は未定となっている。
そういう作品が映画祭で上映されるのは、実に感謝したいと
思ってしまうところだ。
映画祭での上映は、6月26日21:15からTOHOシネマズ日劇で
行われる。

06月14日(日)
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