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On the Production
by 井口健二
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■カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2015
脚本と監督は、以前には短編2作品を発表しているフアン・
フェルナンド・アンドレス。共同監督に俳優のエステバン・
ロエル。新人賞は2人で獲得している。
出演は、2014年10月紹介『スガラムルディの魔女』などのカ
ルメン・マウラと、主にテレビで活躍のナディア・デ・サン
ティアゴ、それに2012年6月紹介『スリーピング タイト 白
肌の美女の異常な夜』などのルイス・トサル。
その脇を『スガラムルディの魔女』などのウーゴ・シルバと
カロリーナ・バングらが固めている。因に本作の製作の1人
は『スガラムルディの魔女』を手掛けたアレックス・デ・ラ
・イグレシアだ。
超常的な話ではないと上には書いたが、何となくその香りと
いうか、全体に漂う雰囲気が好ましい。ファンの目にはそん
な感じに映る作品だ。
2009年10月17日付「第22回東京国際映画祭」で紹介した『激
情』にも通じる古いアパートの雰囲気も良いものだった。
「カリ・コレ2015」での上映は5月25日16:00、28日21:00、
30日18:30となっている。

『殺し屋チャーリーと6人の悪党』“Kill Me Three Times”
『ミッション:インポッシブル』と『スター・トレック』の
映画版新シリーズにもレギュラー出演しているサイモン・ペ
ッグが凄腕の殺し屋に扮するクライムコメディ。
ペッグが演じる殺し屋は、映画の開幕から登場するものの、
主人公と言うよりは狂言回し的な役割で、彼の周囲で様々な
殺人事件が発生し、彼が振り回されるという展開の作品だ。
その開幕で彼は非情な殺し屋ぶりを見せるが…。その止めを
撃つ瞬間に携帯電話が鳴り、彼は面会の時刻を約束する。
そして彼が監視をしている目の前で男女が怪しい行動を開始
し、彼は凄惨な殺人現場を目撃することになる。しかも事件
はそれだけでは収まらず、連鎖反応的に殺人が続けられる。
そこには警官も絡んで、何とも無茶苦茶な物語が展開され、
その累は彼自身にも及び始める。
そんな物語が時間軸を前後させながら繰り広げられる。それ
は最初の内は少し変だなと思わせる部分もあるが、それらが
最後にぴたっと嵌って行く様は、見事なストーリーテリング
と言えるものにもなっていた。正にブラックヒューモアと呼
べる作品だ。
脚本は本作がデビュー作のジェームズ・マクファーランド、
監督はオーストラリアで2005年からフィルモグラフィのある
クリブ・ステンダーズ。本作はオーストラリアとアメリカの
合作で物語の舞台はオーストラリアだ。
共演は、2011年6月紹介『アイ・アム・ナンバー4』などの
テリーサ・パーマー、2013年8月紹介『エリジウム』などの
アリス・ブラガ。
他に、クリス・ヘムズワース(=マイティ・ソー)の実弟の
ルーク・ヘムズワース、2013年2月紹介『L.A.ギャングスト
ーリー』に出ていたサリヴァン・ステイプルトン、昨年公開
『300』の続編に出ていたカラン・マルベイら脇を固めて
いる。
本作はオーストラリア製作だが、欧米人のユーモアは日本人
には中々理解し難いところがある。しかしそれが人間の本性
を描くブラックヒューモアだと理解し易くなる面もあって、
本作はそんな類な作品と言える。
笑うには多少後ろめたさもあるが、暗い映画館の中ならそれ
も心置きなくできるというところだ。
「カリ・コレ2015」での上映は5月17日15:30、18日21:00、
21日19:00、22日10:30、26日15:30などとなっている。

05月03日(日)
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