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On the Production
by 井口健二
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■サムライ・ロック、チャッピー/デッド・シティ2055
様々な要素が付け加えられ、それらが以前にはできなかった
VFXを駆使して描かれているものだ。
ついでに言うと、『ショート・サーキット』でも登場人物の
1人はインド人だったが、これが今世紀のIT大国インドを
予想していたのだとすれば大したものだ。今回の作品ではそ
れが当然のような感じなのだから。
と言うことで、実はサイボーグのロボコップ以上にいろいろ
悩める存在となるチャッピーだが、正直に言うと最後にAI
が到達する解決法には多少問題がある。特にコンピュータと
人間の脳構造が同じというのはちょっと無理がある。
前作『エリジウム』(2013年8月紹介)もそうだったが、こ
の監督にはもう少し科学考証をしっかりして欲しいとも感じ
てしまうものだ。
出演は、2009年1月紹介『スラムドッグ$ミリオネア』など
のデブ・パテルと『第9地区』などのシャルト・コプリー。
他に、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィーバー。さら
に南アフリカで活動するラップ・アーティストのニンジャと
ヨーランダらが脇を固めている。
そして後者は、「レプリカント」という言葉がどのくらい市
民権を得ているのか判らないが、そのレプリカント=生物学
的な人造人間が来場者を楽しませるというアミューズメント
パークを背景としたもの。
こちらに対しては、1973年と77年に続編も公開された『ウエ
ストワールド』が想起される。この作品はベストセラー作家
マイクル・クライトンの映画監督デビュー作ともされるもの
だが、やはり過激な欲望が目当ての遊園地だった。
ただしこの作品では、人間とロボットの判別を体温で行うと
されており、観たときには「ガンファイトはいいけれど、低
体温の娼婦はなあ」と、幼心に思ったものだ。その点に関し
本作では改良が観られ、それは納得したところだ。
とは言うものの、メンテナンスで毎朝消去されるレプリカン
トの記憶が消えなかったら…という設定は良いが、その設定
が充分に活かされているか否か。所詮アクション作品だから
とやかくは言わないが、その辺が勿体なくも感じた。
この設定を生かし切れば、もっと本格的なSFドラマも作り
出せそうで、これは脚本家たちには是非とも再挑戦して欲し
いとも思えたものだ。これだけで終わらせるのは本当に勿体
ないと思える。
出演は、2009年12月紹介『ミュータント・クロニクルズ』な
どのトーマス・ジェーン、2012年12月紹介『ザ・マスター』
などのアンピル・チルダース、それにブルース・ウィリス。
そこそこの顔触れが揃った作品だ。
公開は、両者共に5月23日より全国一斉ロードショウが予定
されている。

04月19日(日)
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