ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459940hit]

■宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟、ホビット・決戦のゆくえ、ヴァチカン美術館4K3D天国への入口
ミー賞で11部門を独占した『LOTR:王の帰還』とはずいぶん
味わいの違う終り方になっていた。もっとも本作はこの後に
『LOTR』の3部作が続くから終わりではないのだが。
ただ個人的な意見を言わせてもらえれば、やはりサウロンの
誕生はもっと明白に描いて欲しかったかな。前作に登場した
ネクロマンサーがサウロンになることは知られており、本作
の中でもその台頭を警告するガンダルフの発言などは聞かれ
るが、何か納得させてくれるものが欠けていた気がする。
それにイアン・ホルムの登場は嬉しかったが、ヴィゴ・モー
テンセンも出てきて欲しかった感じもした。本作の終盤では
レゴラスがストライダー=アラゴルンの探索を命じられてい
るが、その間のアラゴルンの冒険も観てみたかった。それに
してもこの時点でアラゴルンて何歳なんだろう?
出演は、イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リ
チャード・アーミティッジ、オーランド・ブルーム。
他にケイト・ブランシェット、エヴァンジェリン・リリー、
ルーク・エヴァンス、ベネディクト・カンバーバッチ。さら
にクリストファー・リー、ヒューゴ・ウィーヴィングらが脇
を固めている。
公開は12月13日から、3D/2D、IMAX3D、HFR3Dで
全国一斉ロードショウとなる。
上記の理由で、「中つ国」の物語がこれで終わりになるとは
思えない。最後のシーンは『LOTR』に直結になってしまった
が、番外編としてアラゴルンの冒険とサウロンの誕生は改め
て描いて欲しいと思うものだ。それにレゴラスには若返りの
処理を施して欲しいかな。
いずれにしても、6部作を改めて通しで観たいという気分に
もさせられた。

『ヴァチカン美術館4K3D天国への入口』
              “The Vatican Museums 3D”
キリスト教の総本山、ローマ・ヴァチカン市国にある公式の
美術館が、自ら制作に当たった美術品鑑賞のためのドキュメ
ンタリー作品。
映画ではヴァチカン美術館館長のアントニオ・パオルッチ氏
が自ら登場し、美術館の歴史や所蔵された美術品の解説を繰
り広げる。その解説に合わせて個々の作品が3D映像で映し
出されるものだ。
それは作品が彫刻であればその立体感が最大限に発揮され、
しかも普通では観ることのできない位置にまで3Dカメラが
迫ってその迫力も再現する。そこでは例えばミケランジェロ
の「ピエタ」に作者自ら刻印した名前も読み取れる。
その他、古典彫刻の荒々しいまでの躍動感や優美さなどが、
正しく臨場感以上の感動を持って提示される。そこに作品の
来歴などの解説が加えられて、これはもう最高の条件で作品
を鑑賞できるものだ。
そしてここからが本作の本当の見せ場、実はこの映画では彫
刻だけでなく絵画(!)までもが立体で鑑賞できる。つまり
この映画では、ミケランジェロが描いたシスティーナ礼拝堂
の天井画や「最後の審判」などが立体で観られるのだ。
それは例えば天井画の中央に描かれた「アダムの創造」では
神に向かって差し伸べる手が突き出して見えるものであり、
天井画の全体では、そこかしこに飛び出して見える造形が、
ある種の妖しさも醸し出して目を引き付ける。
それは美術書に掲載される複製写真などの表現を超え、現地
に行って直接見ても味わうことのできない、美術品の新たな
鑑賞を実現している。ここには人類が初めて目にする世界が
広がっているのだ。
ここで2Dの絵画の3D化はシミュレーションによるものだ
が、その場合に生じるのは視差によって現れる前景に隠れた
部分の処理だ。その映像は誰かが作り出さなければならず、
それは著名な絵画に筆を加えることになる。
ところが本作においてはそれを見事な方法で処理していた。
それは影の部分に元に描かれたエッジを重ねてレリーフのよ
うに描く手法。こによってその部分に新たな筆を入れること
なく見事な立体感を作り出している。
この手法は、もちろん一般的なドラマ作品には採用できない
ものだが、本作においては最大の効果で3Dをシミュレート

[5]続きを読む

12月07日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る