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On the Production
by 井口健二
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■ミニスキュル−森の小さな仲間たち−、The Congress(コングレス未来会議)
それから20年、映画会社との契約期間が満了して現役復帰も
可能になった女優は、会社が主催する「未来学会議」に招か
れるが…。その会議では会社が新たに開発した幻覚剤が発表
され、それは人々を現実と幻想の境目のない世界へと引き摺
り込んで行く。
脚本と監督は、前作『戦場でワルツを』が2009年のゴールデ
ングローブ賞外国語映画賞を受賞し、米アカデミー賞の外国
語映画部門にもノミネートされたアリ・フォルマン。前作も
実写とアニメーションの混合だったが、本作ではさらにそれ
を推し進めた作品になっている。
出演は、本作の製作者にも名を連ねるロビン・ライト。その
脇を、2004年12月紹介『ナショナル・トレジャー』や2012年
12月紹介『ムーンライズ・キングダム』などのハーヴェイ・
カイテル、2011年4月紹介『エンジェル・ウォーズ』などの
ジョン・ハムらが固めている。
ロビン・ライトは劇中も実名で登場し、彼女が契約する映画
会社の名前はミラマウント。さらにアニメーションのキャラ
クターには、思わずニヤニヤしてしまう顔ぶれが登場するな
ど、映画ファンにはプレゼントのような作品。
でもそれ以上に、現実と幻想の入り混じりや俳優をデータ化
して活躍させるアイデアなど、SFファンにはこちらも極上
の贈り物という感じの作品だ。しかもストーリーの複雑さは
到底1回観ただけでは理解し切れない構造になっている。
先にも書いたように本作の日本公開は未定のものだが、告知
された東京アニメアワードフェスティバル2015の開催概要で
は、アリ・フォルマン監督が審査員を務めることも発表され
ており、開催時には特別上映の可能性も高そうだ。
因に、今年の東京アニメアワードフェスティバル2014では、
上記の『ミニスキュル−森の小さな仲間たち−』と、2012年
6月「フランス映画祭2012」で紹介した『アーネストとセレ
スティーヌ』もコンペティションで上映され、後者は優秀賞
を受賞している。
なお東京アニメアワードフェスティバル2015は、2015年3月
19日−23日にTOHOシネマズ日本橋で開催される。

09月07日(日)
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