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On the Production
by 井口健二
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■グラン・ブルー、トイ・ストーリー3、アイ・コンタクト、シルビアのいる街で、セックス・アンド・ザ・シティ2+製作ニュース
されていた。
なお、この熊ロッツォのキャラクターは、実は(1)の物語の
舞台が巨大おもちゃ屋の店内に設定していた頃に検討されて
いたが、設定が変ってお蔵入りになっていたものだそうだ。
それは元々は売れ残り棚に取り残されて捻くれたトイだった
そうなのだが…
こんなトイたちの冒険と、大人になったアンディの成長期の
葛藤が表裏になって、見事な物語が展開されて行く。恐らく
は前2作を観て育った子供たちが、今まさにアンディと同様
の人生の岐路を迎えているときに、その背中をそっと押して
くれるような作品だ。
その一方で本作は、もちろん初めて観る子供たちにも、見事
な夢と冒険を提供してくれる物語にもなっている。そして、
(1)派にも(2)派にも納得できる物語が展開される。なお僕が
観たのは2Dでの試写だったが、本番の公開は3Dでも行わ
れる。ただし物語は3Dであることを目標とせずに作られて
いるそうだ。でももう1回3Dで見直したい。
また、ピクサー=ディズニーの作品では本編の上映の前に短
編のおまけが付くが、今回は“Day & Night”という作品。
これが内容は実に題名通りのものなのだが、機知に富んでい
て、僕は思わず途中で喝采してしまった。この作品も3Dで
見直したいものだ。

『アイ・コンタクト』
2009年に台北で開催された第21回デフリンピックに競技とし
ては初参加した聴覚障害者の女子サッカー日本代表チームを
取材したドキュメンタリー。
本作を監督した中村和彦は、先に知的障害者のサッカー日本
代表を追った『プライドinブルー』という作品を手掛け、
そこから本作へと繋がって行ったのだそうだが、本作ではさ
らに選手たちの人生にも立ち入って、より奥深い作品に仕上
げられている。
僕自身、昨年には視覚障害者によるサッカーの試合を観戦に
行って、その奥の深さのようなものをいろいろと感じはした
が、正直に言ってその試合はJリーグなどで普段見慣れたサ
ッカーとは違う競技のように感じられた。
ただし視覚障害の場合は、自分自身で目を瞑ればそれなりに
その状況にはなるし、その苦労などもそれなりに理解しやす
い感じもするもので、そのサッカーにおける状況などもそれ
なりに理解はできるように感じられたものだ。
これに対して聴覚傷害、特に初から耳の聞こえない人の感覚
などは、自分ではどのようなものか全く想像もできないし、
見た目が健聴者と変らないことの苦労などは、今まで考えて
もみないことだった。
この作品は、代表チームの練習や試合の様子などを追うと同
時に、今まで考えたこともなかった聴覚障害者の置かれた状
況などを丁寧に描き出し、その面での衝撃や他の作品では味
わえない感動なども覚える作品だ。
また、各国代表チームとの試合の様子は迫力も満点で、その
中での選手たちが頑張り続ける姿などには、何とも言えない
日本サッカーの今現在の状況の中では、特に胸に迫るものが
あった。
それにしても自分がサッカー観戦で、応援しているチームの
形勢が悪くなった時に「下を向くな!」とは選手に向かって
よく放つ言葉だが、聴覚傷害者のサッカーでのその言葉の重
さは格別のものになる。
元より作品の題名自体が通常のサッカー用語な訳だが、本作
ではそこに込められた意味がより深くも感じられた。その意
味ではサッカーという競技全体への示唆にもなっているし、
現役のJリーグの選手たちにも観てもらいたい作品のように
も思えた。

『シルビアのいる街で』“En la ciudad de Sylvia”
昨年10月20日付東京国際映画祭の報告の中で紹介した『イニ
スフリー』などのスペイン人監督ホセ・ルイス・ゲリンによ
る2007年製作のフランス/スペイン合作作品。
本作は、2007年ヴェネチア映画祭のコンペティション部門に
出品され、一昨年の東京国際映画祭WORLD CINEMA部門でも招
待上映されたが、その時は見逃していた。その作品が今回は
日本での一般公開が決定し、改めて試写が行われたので紹介
する。

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05月30日(日)
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