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On the Production
by 井口健二
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■ドラゴン・プロジェクト、ポセイドン、君に捧げる初恋、13歳の夏に僕は生まれた、ロシアン・ドールズ、ジャスミンの花開く、デストランス
ところが無かったのだそうで、登場する俳優ジョッシュ・ル
ーカスの姿を除く全てをCGIで作り上げたもの。このシー
ンの仕上げには、ILMのコンピューターを18昼夜連続で稼
動して処理が行われたということだ。
実はカメラが海上に出た途端の夕日に映える船影が奇麗すぎ
て、多少リアルさを減じている感じもしたが、そこから船の
周囲を廻るシーンには思わずニヤリとさせられ、この後に続
くはずの物語のリアルさに対してちょっと夢見心地の感じも
心地よかったものだ。
1997年の『タイタニック』の中でも、船上をカメラがなめる
CGIのシーンはあったが、その規模、リアルさでは、技術
はここまで来ているのだということが感じられもした。
そして物語は、登場人物たちの紹介のドラマを挟んで、ボウ
ルルームでのカウントダウンパーティ。それと同時に進む巨
大波の来襲と、船の転覆へと進んで行く。
実は、船の転覆までがちょうど19分30秒で、最初の1巻でそ
こまで見ることができた。来襲する巨大波の映像は、『パー
フェクト・ストーム』でも充分に迫力を感じたが、今回はそ
れを数倍する規模のもので、記者会見場に置かれたスクリー
ンよりもっと大画面で見たいと思わされたものだ。
特に、甲板のプールの水と、船体を乗り越えてくる波の対比
などが見事に描かれていた。またそれによって巻き起こる船
内の描写も、1972年の映画化ではここまで克明には描けなか
ったアクションが存分に映像化され、その迫力は充分に味わ
えた感じがした。
というところで、実はこの作品の本当の物語は、この後に繰
り広げられるサヴァイバルが重要なのであって、ここまでは
前哨戦。考えてみたら2本立ての1本目が終ったところとも
言えるものだが、ここから始まる2本目が早く見たいという
期待感が否応無く高まる感じがした。
『君に捧げる初恋』“初恋死守決起大会”(韓国映画)
IQは高いが問題児の若者が繰り広げる恋人獲得大作戦。
主人公は釜山の高校生。彼には幼馴染みで思いを寄せている
初恋の女性がいた。彼女の母親は彼女の出産時に亡くなり、
彼の母親の乳を分け合った言わば乳兄弟なのだが、高校教師
の娘でもある彼女は、学業成績が全国で3000番以内の才媛。
一方の彼の順位は30万台でとても太刀打ちできる順位ではな
い。しかし彼は、実はIQ=148の頭脳の持ち主で、それを
知る彼女の父親は、遂に司法試験の1次に合格したら結婚を
認めると宣言する。そこから彼の猛勉強が始まるのだが…
映画の前半は、何しろベタなギャクのオンパレードで、正直
に言って、最後までこのままだったらどうしようと思ったく
らいだ。しかし、その予想を完璧に覆してくれるのが映画の
面白さで、これが最後は落涙の感動作になるのだから見事な
ものだ。
しかもそれが、わざとらしいお涙頂戴でではなく、人が人と
してお互いが気遣い合っての展開が無理無く作られている。
その脚本の巧みさにも感心した。
そこには、韓国的な倫理観など、日本とは違うところもいろ
いろあるが。それがまた、現代日本が失った物を見せてくれ
るようでもあって、良さを感じるところでもあった。
今さら日本映画でそれを見せられても困ってしまうところだ
が、韓国映画だから許される?そんな部分もあるようにも感
じた。これが、韓国映画ブームの根底にあるのかも知れない
とも思ったものだ。
出だしとはかなりギャップのある後半の展開だが、そこに至
る微妙な変化も、思い返すとそれなりに丁寧に描かれていた
ように思われる。それに、最後の希望を感じさせる終り方も
良い感じだった。
主演は、『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョンと、『私の頭の
中の消しゴム』のソン・イェジン。脚本・監督は韓国テレビ
出身でこれが映画デビュー作のオ・ジョンノク、「マニュア
ルやテクニックではない恋愛を描く」というのが本作のコン
セプトだそうだ。
『13歳の夏に僕は生まれた』
“Quando sei nato non puoi più nasconderti”
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04月30日(日)
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