ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File090】狼と羊と猟犬と・・・ココアとラム酒と海の男たちの物語【ネタバレ警報/後編@】
もはや従来型のUボートで戦局を好転させる事が出来ないのが明白となり、1943年7月には、新型Uボートの具体化計画が動きだす・・・これはヘルムート・ヴァルター教授が開発したヴァルター機関(空気の代わりに過酸化水素を用いた画期的推進機関)を搭載した水中高速潜水艦計画でしたが、実戦投入はかなり先の話で、それまでは手持ちの戦力で、なんとかその場を凌がなければなりませんで。しかしそれはUボート部隊に更なる損失を強要する事態に他ありませんでした。再び大西洋での激戦が開始されましたが、戦果の割りに損害が大きく、デーニッツ提督は、この絶望的な戦局の中に活路を見いだそうとして、様々な試みに希望を託します。1943年8月末には新型追尾魚雷や新型のレーダー逆探知機を搭載し対空兵装を強化したUボートの戦隊を出撃させましたが、船団攻撃は不成功に終わります。1943年10月に連合軍は中立国のポルトガルと協定を結びポルトガル領アゾレス諸島に航空基地を設営、エア・ギャップは更に狭められ、Uボートにとっては、ますます活動範囲を制限される事になります。1943年11月頃には独軍側の劣勢は、誰の目にも明らかでした。1944年になると戦局の主導権は完全に連合軍側へと移り、もはやデーニッツ提督にも打つ手は無くなって来ました。新型Uボートが投入されるまでの一時的な対応として、潜航したままディーゼル航行できるシュノーケル装備艦や潜航時間を増加させた蓄電池増設艦(エレクトリック・ボート)が導入され、ささやかな成果を残しますが、あくまでも一時凌ぎに過ぎず、また隻数も少なく、戦局を変える、と言うには程遠いものでした。1944年6月欧州反攻作戦(ノルマンディー上陸作戦)・・・フランス解放により、ビスケー湾沿岸の主要基地を失ったUボート戦隊は、新型Uボートの投入に最後の希望を託しながら独国内の軍港へと撤退しますが、連日の連合軍機の爆撃により壊滅・・・ノルウェー沿岸の一部基地を除き、最早拠点を失ったUボートは、二度と組織的な作戦を行なうことなく、敗戦を迎えるのでした・・・。
既に御存知の方も多いと思いますが、私ATFは第二次大戦を舞台とした海洋冒険小説が超≠ェ付くほど大好きなんです・・・それについては当HPのコンテンツのひとつ「資料室AArchivesGallery死闘の海=vをご覧いただいてもお解りでしょう。ハヤカワ文庫は元より、その他出版社の海外小説で、類する本は新刊・古書を問わず片っ端から買いあさっております!アリステア・マクリーン(女王陛下のユリシーズ号)セシル・S・フォレスター(駆逐艦キーリング)ダグラス・リーマン(大西洋、謎の艦影)フィリップ・マカッチャン(キャメロンの海戦シリーズ)ブライアン・キャスリン(地獄の輸送船団)アレクサンダー・フラートン(エバラード シリーズ)ダドリー・ホープ(囮のテクニック)・・・(代表作)・・・そして私ATFの座右の書・・・ニコラス・モンサラット「非情の海」(怒りの海≠ニも言う)・・・次々に襲いくる獰猛なUボートや通商破壊艦そして長距離哨戒爆撃機、一発の魚雷で何もかも吹き飛ばす航空燃料や火薬と言った危険な積み荷・・・そしてなによりも暴風吹き荒れ、たった数分で命を奪う極寒の海・・・しかし男たちは不屈の闘志で輸送船に乗り込み殺戮の海≠ヨと船出して行く・・・一杯の熱いカイ(生チョコのココア)と喉を焼くラム酒で疲れきった心と身体を癒し、遥かな母港で待つ妻や子供そして恋人と再び逢う為に・・・。とまぁこう言う訳・・・ってどんな訳や?・・・そうですよ輸送船団″DきのATFをワクワクさせた『enigma』のストーリー設定・・・Uボート群が待ち受ける海域に向かう輸送船団を救う為、犠牲を賭して暗号解読に挑む男たちの物語・・・ってのに目いっぱい期待していたのであります。ところが・・・?勢い勇んで映画館へ観戦に出かけたATFを待ち受けていた驚愕の事実とは、はたして・・・次回『enigma』観戦記、あゝ堂々の完結編・・・どうぞお楽しみに【まだ続くでぇ〜ッ】
【一部修正】20030625後輩伍長氏よりの指摘により
06月23日(月)
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