ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File090】狼と羊と猟犬と・・・ココアとラム酒と海の男たちの物語【ネタバレ警報/後編@】
第一次大戦の敗戦によってドイツ帝国は崩壊し、新たに誕生したワイマール共和国(イクイクワイマールだっけ!)はベルサイユ条約によって軍備を厳しく制限されます。しかし戦後の混乱した社会や破綻した経済によって高まる不安が、ドイツ国民にヒトラー率いる「国家社会主義ドイツ労働者党=通称ナチス党」を支持させます。やがてナチス党が政権を握ると再軍備計画が密かに進行・・・特に犬猿の仲であったスターリン&共産党率いるソ連とも手を結び、ドイツの進んだ戦術・技術との交換条件でソ連領内の訓練基地が提供され、陸軍や空軍の再軍備が着々と進められます。独国内でも民間企業(航空・重工業)への助成や青少年の教育文化・スポーツ育成を隠れ蓑とした、来るべき再軍備時の幹部要員の養成が進められていました。ここで話題を逸らします・・・よくドイツ帝国と言えば「陸軍国」のように思われがちですが、ドイツ帝国海軍は、第一次大戦中の1916年(大正五年)5月31日から6月1日にかけてジュットランド半島沖(Jutland<トランド/スカラゲック海峡海戦とも呼ばれる)で行なわれた英国海軍とドイツ帝国海軍の主力艦隊(双方合わせて250隻もの艦艇が参加)同士による海戦において、互角に近い戦いを行っています。当時西部戦線は膠着しており、英国大艦隊(Grand Fleet)による北海の海上封鎖に対抗して、ドイツ帝国大海艦隊(High Seas Fleet)は、英国艦隊を撃滅する為に出撃・・・艦隊決戦における損害はドイツ大海艦隊よりも英国大艦隊の方が上回り、戦術的にはドイツ帝国大海艦隊が勝利しますが、戦略的には世界に冠たる英国海軍から制海権を奪う事が出来ず、その後、艦隊内の水兵の間に広がった厭戦思想による叛乱を経て、1919年停戦・・・ドイツ帝国の崩壊・・・停戦条約が署名されると、ドイツ帝国大海艦隊の戦艦・巡洋戦艦・装甲巡洋艦などの主要残存艦艇74隻が、英国北部オークニー諸島のスカパ・フロー(Scapa Flow)艦隊泊地に回航され、英国海軍の監視下に置かれ処分を待つことになるのですが、栄光あるドイツ帝国大海艦隊の司令官・艦長達は、指揮する艦が敵の手に落ちる事を潔しとせず、1919年6月21日一斉に自沈を決行・・・一部を除き殆どの艦の名誉が守られました。まあこんな事もあって、戦後のワイマール海軍は戦力を大幅に縮小されます(しかしまぁ厳しい制限の網を掻い潜りポケット戦艦≠ネど異色の艦艇を生み出す訳ですが・・・)。再軍備計画の中にあっても、英国艦隊に対抗できる程の大艦隊を復活させるだけの資金・労力・時間は、さすがのヒトラーやナチス党にもなく、結局後の新生ドイツ海軍は、その主要作戦方針を第一次大戦時に実用化された新鋭兵器・・・潜水艦Uボート≠竢、船改造仮装巡洋艦、ポケット戦艦等による通商破壊戦への転換を余儀なくされるのです。 

【無制限潜水艦戦へ道・・・1939年9月〜1940年7月】

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06月23日(月)
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