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せきねしんいちの観劇&稽古日記
by せきねしんいち
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■富士見丘小学校卒業公演「お芝居をつくろう」
でも、それは余計な心配だった。下級生の子供たちはずっとみていてくれた。客席の後ろで見ていると、場面が体育館のフロアの真ん中から、本舞台、体育倉庫側のひなだん(外クラスのみんなはここから全部を見ている)へと動くたびに、子供たちの頭がいっせいに動くのがわかる。
照明の伊藤さんから聞いた話。下級生は大きなパイプイスに座っているのだけれど、二列目以降になるとかなり見えにくかったらしい。頭を左右に動かして見ていたのが、思いついて、イスを降りて立って見ることにした子がいたそうだ。でも、立った時点で、座っているときより背が低くなってしまい、あきらめて、またイスに座ったんだそう。
直前に練習したセリフの割り振りは、まるで初めからそうだったかのようにスムーズに進んだ。誰もほんの30分前に急遽練習したセリフだとは思わないだろう。
大人が考える「ショーマストゴーオン」とは全然違う、もっとやらなきゃいけないことをやるのが当たり前という姿勢で子供たちは芝居をつくりあげた。割り振られた子がピンチヒッターでスターになるというのでもなく、ほんとうにみんなのために、当たり前のことをしているだけというように。こんなこと、絶対に大人にはできない。昨日、伊藤さんに聞いた記憶力のピークは12歳というのが本当なんだとしても、すごすぎる。昨日のマサキ役の彼のがんばり方が、子供たちみんなに「やればできるんだ」と火をつけたのかもしれない。
火星人が登場する場面。伊藤さんがバックライト仕込んでくれた。逆光に浮かび上がる妖しい姿、と登場するのは赤いタコの形の火星人。下級生は大喜びだった。
魔法使いのかわいい衣装も女子に大受けだった。
そして、終演。今朝の授業開始前には、無事に開演できるんだろうかと、ほんとうに心配だった舞台が見事に幕を下ろした。子供たちのがんばりのおかげで。
4時間目は特活室で振り返り。
講師陣から一言ずつという時間になって、胸がいっぱいになる。この文章を書いている今もそうだ。
子供たちに輪になって座ってもらい、感想を言い合ってもらう。劇中と同じに次の人を指しながら。
助け合ってできてよかったという意見がなによりもうれしい。
僕は、急遽割り振ったセリフなのにきちんと演じてくれてすばらしかったです。今日はお休みの3人の声や演技が、みんなの声や演技から浮かび上がってくるようでしたと話した。
あと一回、今度は一般の公開。
給食の後、特活室に集合して、午前中と同じように気合いを入れる。
そして、本番。
今年は、上演中の撮影を一切禁止した。写真もビデオも。おかげで観客の大人たちがとてもきちんと集中して見てくれるようになったのがうれしい。
昼間は受けなかったセリフのおもしろいニュアンスやつっこみで客席が沸き、演じる子供たちもどんどんリラックスしていった。
一回目はドキドキだった急遽割り振ったセリフは、もう何のあとかたもなく演じている彼ら一人一人のものになってしまっている。すごいなあと思いながら、芝居って残酷だなあとも思う。
ラスト近く、今日でこの小学校は廃校になると話す先生にざわめく教室、やってきた国の役人が「落ち着いてください」と言ってもおちつかず、「座りなさい」と言っても席に着かない子どもたち。僕は、ここで子供たちに「座りたくなかったら座らなくていいから」と話し、役人役の彼には「座るまで『座りなさい』って言っていいからね」と伝えた。今日は、その「座りなさい!」が初めて4回繰り返された。そして4回目の「座りなさい!」はびっくりするくらい迫力があった。その後、悠然と子供たちを見ながら歩く役人の彼。小柄な彼がとっても大きく見えた場面だった。彼は、永井さんの授業で、犬が乗り込んできたエレベーターで一人困っていた男子を切なく演じていたんだった。
ラストの歌。稽古の始まりでは、エンディングの位置のまま客席を向いて歌っていたのを、稽古の後半、輪になって内側を向いて歌う演出に変更した。その方が声が出やすいし、「みんなで」歌っている気がして、声も出やすくなるじゃないかと思って。
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02月27日(金)
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