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せきねしんいちの観劇&稽古日記
by せきねしんいち
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■ワークショップ最終日
 ロジャーに指名されて、ASAKAくんと部屋の外、ホワイエでやることになった。
 テントの外でみんなが聞いている、その状況の中での緊迫したやりとりを作り出す。
 大声を出すと警備員さんが来るからねと言われる。
 壁際のソファに二人で座る、遠く離れて。5メートル以上も。ウィスパーでしゃべっても、届いてるかどうかとっても心もとない。エスカレーターの音がずっと響いてるし。ちゃんと伝えなきゃと思い、身振りがやや大きくなった。
 キャシアスの「俺を討て!」というヤマ場の台詞のあとの「剣を納めてくれ!」というところだけ、それまでのウィスパー気味の声とは全然違う、一番響く声を出した。思い切ってホワイエ全体に響かせる。
 みんなびっくりしたのがわかった。それまで激昂してたASAKAくんのキャシアスもびっくりして、その後の流れにすぐにうつることができた。どうしたら、このキャシアスをなだめることができるだろうとずっと考えていた。やっちゃいけないよと言われてたことをやるのは、ややフェアーじゃないけど、いいややっちゃえと見切り発車。大声を出した後の台詞を小声で言うときに、「あ、これは本当だ」と思った。いつもだと「ここでちょっと調子を落とそう」と思うんだけど、自然に、自分が大声を出したことを反省して声が小さくなる。外にいる連中に気がつかれなかったかと心配にもなる。こういうことかと思った。
 ワクワクしながら、とっても楽しく終わることができた。
 僕の発表はこれでおしまい。
 その後、何組か、同じ場面を部屋の中で演じて、2週間のワークショップは終了した。
 最後にロジャーからのコメント。「何もしないのはいけない。何かしなさい。でも、何もかもやっちゃいけない」「役者としての自分を他人に規定されてはいけない。自分のことは自分が一番知っているんだから」。
 飛行機の時間まで、お茶を飲みながら、ロジャーを囲んでみんなでおしゃべり。ロジャーと青井さんを見送って、解散した。
 ロジャーに言われたことで一番心に残ったのは、一人の人間として舞台にいるということの大切さだ。
 僕は、普段の芝居では、いつも自分でいることが大事だと思うし、みんなにもそうじゃなきゃいけないというんだけど、今回、シェイクスピアの台詞を演じながらも、自分でいることこそが大事なんだということを学んだ気がする。
 これまでは、古典の台詞をやろうと思うと、やっぱり「何かになろう」としてた。十数年前の養成所時代を振り返ると、ほんとうにそうだったなあと改めて思う。
 今回のワークショップは、僕に俳優として演技することのおもしろさを再確認させてくれた。やっぱりおもしろい。
 芝居は僕にとって、どんどん自分自身になることだと、フライングステージを始めるときに思ったものだけれど、ロジャーは「それでいいんだ」と背中を押してくれた気がしている。
 いい時期にほんとうに素敵な人に出会えて幸せだったと思う。感謝の気持ちでいっぱいだ。
 ロジャーは、ドラマ「ホワイトハウス」に英国大使の役で出てるそうだ。やや苦手なドラマだけど、これからはちゃんと見て、彼を見つけてみようと思う。
 そうそう、彼のファンサイトはこちらです。

 というわけで、ワークショップ日記?はこれでおしまいです。
 長々とおつきあいありがとうございました。
 ワークショップのメンバーでこれを読んでくれているみなさんへ。
 どうもありがとうございました。素敵な仲間を出会えて、とてもしあわせです。これからもどうぞよろしく。

 さあ、これからは、僕だけの仕事にとりかからなくては。
 アムネスティの台本を仕上げて、「二人でお茶」を書き上げる!
 「そっちはどうなってるの?」と心配をかけたみなさん、素敵なおみやげをいっぱいもらって帰っていきますので、どうぞご安心を。
 では……!!!

01月29日(土)
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