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あんた何様?日記
by 名塚元哉
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■杉並のパン屋の話の続き
昨日、紹介した朝日新聞のこの記事に

東京)無添加にこだわり19年 杉並のパン屋が閉店(朝日新聞 2014.12.31)

疑問を呈するコラムがアップされていたのでご紹介します。

『FOOCOM.NET - 科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体』より
無添加パンってなんだ?・・・朝日新聞の妙な記事(FOOCOM.NET 1月9日)

朝日新聞に妙な記事が出ました。
無添加にこだわり19年 杉並のパン屋が閉店という見出しです。
 
 自家製酵母が自慢のパン店が閉店。添加物を入れたパンで湿疹ができた経験を経て、
無添加パンのベーカリーコンサルタントに。国内外に400店近くを開き、
さらに19年前に東京・杉並に自分の店をオープン。福島原発事故後は、
「原材料の安全性が保てない」と休業し、再開後は原材料の放射性物質の検査をしていたという。
店を閉めた後は体調を整え、コンサルタント業を再開する——というのが記事のおおまかな中身です。
 
 変だなあ、と思うことは二つあります。
まずは、このお店の主が「ノン・ベクレル」を追求していることを公言し、
twitterで「福島の子供たちの甲状腺癌のみならず奇形の子供が生まれたり、
大人でも心筋梗塞などによる突然死が増えていることは皆さんご承知の通りです」などと発言したり、
事実でない情報を流していることについては、記者がまったく考慮していないように見えること。
しかし、この点についてはtwitterでも他の方々がずいぶんと批判をしているようですから、
今回は深堀りしないでおくことにしましょう。

 私がなにより気になるのは「無添加パン」という言葉です。
朝日新聞を読んでも定義が明確でなく、何を指すのかがよくわかりません。
このお店のウェブサイトを見ると、無添加パンの定義がありました。引用します。

無添加パンとは:以下の条件を満たした体に優しいパンのこと。
具体的には、
1: 化学合成による物質は使わない。
2: イーストフード(発酵促進剤)、乳化剤(グリセリン、脂肪酸エステル)、防腐剤、着色料を使わない。
3: 発酵大豆という名の酵素剤、植物タンパク質という名のバイタルグルテンを使わない。

 ウェブサイトでは、「無添加パンは従来のパンより老化が早いので、お早めにお召し上がり下さい」
「『無添加パン』のため、保存料が入っておりません。
できるだけお早めにお召し上がり頂きますようお願いいたします」などと説明されています。
 それに、ビール酵母を使っているというのも重要なようです。
『パン焼きの要となる「酵母」を厳選材料から自分で培養することに注目し、
長年ビール酵母の研究を重ね、栄養豊富なビール酵母「デッセム」を開発しました』と書かれています。

 個人攻撃をするつもりは毛頭ないのですが、
ウェブサイトに書かれていることは相当にヘンで、科学的ではありません。
 まず、化学合成された物質が体に悪い、という根拠はまったくありません。
挙げられているイーストフード、乳化剤(グリセリン、脂肪酸エステル)、
着色料は、食品添加物として安全性を評価され問題ない、とされたうえで用いられています。

 そもそも、イーストフードというのは、イースト、つまり酵母の栄養源となるもので、
塩化アンモニウムや硫酸カルシウム、リン酸三カルシウムなどに
小麦粉やでんぷんなどをミックスしてあります。
これを小麦粉に混ぜると、酵母が粉と共に栄養源にして活発に増殖し、
炭酸ガスを作りパン種が膨らみます。(パン食普及協会のパンのはなし参考)。

 イーストフードに含まれているのは、自然の食品中にもある物質と同じで、
それらを多めに酵母に与えてやろう、というだけの話です。
 グリセリンや脂肪酸エステルも、天然自然の食品にも同じものが含まれています。
グリセリンは乳化剤としては使われないので、このお店のウェブサイトの情報は誤記で、

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01月09日(金)
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