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あんた何様?日記
by 名塚元哉
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■美しくない国へまっしぐら
【溶けゆく日本人】子供以下の親 身勝手な論理、平然と

20年以上のキャリアを持つ都内のベテラン保育士は、ある母親の言動に耳を疑った。
おもらしをした子供に貸した保育園のズボンを返却するよう促したときのことだ。

 「保育園のものの方がすてきだから、譲ってくれない」。
母親は真顔でそう答えたという。

 「昔は言わなくてもアイロンをかけて返してくれた。
(借りたものを返さないことが)悪いという認識が感じられない。
親に社会性がなくなってきています」。保育士は深い嘆息を漏らした。

 この保育園では「子供が恥ずかしい思いをしないように」との配慮から
園名をズボンの裏側に書いていたが、以後、表に記すことにした。
それでも返却率は悪く、10着あった替えズボンがゼロになったクラスもある。

 告発は尽きない。

 「ウチのたたみ方じゃない」と保育園が洗濯し、たたんだ子供服を突き返す
▽「パチンコで負けたから」と、お金を借りに来る
▽熱が39度もある子供を預けに来て、「平熱ですから」と平然と言う
▽子供の体調が朝よりも悪化したことを伝えようとしたが、
携帯電話がつながらず、後で理由を尋ねると、
「忘年会中だから電源を切っていた」と答えた…。
すべて、複数の保育士が目の当たりにした親の姿だ。

 子供を教育する立場にある親の、子供以下の振る舞い−。
幼児教育関係者は“親育て”の負担が増したと口を揃(そろ)える。

 「これまで現場は、子供の保育80%、(親などの)
家庭20%の割合で力を注いできた。現在は、保育と家庭が半々です」

 都内のある公立保育園長の実感だ。

 目を耳を疑う親の行状は、保育園にとどまるはずがない。

 都内のある公立小学校では、夏休み前なのに子供を休ませて海外に旅立つ
親が増えているという。閑散期のほうが航空運賃が安いからだ。

 「『家庭優先』といわれれば、無理に止めることもできない。
それにしても、義務教育が随分軽く見られるようになった」と、
この小学校の元校長は嘆く。

 「自分たちが参加できないから小学校の運動会は楽しくない」。
別の公立小学校の校長はある父親にそう告げられ、閉口したことがある。
「楽しみたい」という父親の言葉を投影するかのように
運動会では親たちの飲酒が横行し、運動場が「花見会場」に一変する。

 もちろん、子育てに対する関心が高いゆえに、
保育園や学校に苦言を呈する親も少なくない。
しかし、複数の事例から浮かび上がるのは、自分たちの都合を過度に
優先する非常識な親が“増殖”しつつある実態だ。

 昨年12月中旬のこと。東京都府中市の教育委員会幹部や給食調理員ら
44人が、給食費未納の世帯を回った。これだけの大人数で徴収に
出向くのは初めてのことだった。

 給食の食材費は学校給食法で保護者の負担とされているが、
全国で「義務教育だから払う必要がない」と、月4000円程度の支払いを
拒否する親が急増している。府中市でも、ここ数年は未納率が1.8%程度に上る。

 その結果、“大規模徴収”に至るが、2日間で徴収できたのは未納分の
8%にあたる57万円のみだった。「駅前の一等地の高級マンションや
新築の3階建てに住んでいたり、駐車場に3ナンバーの車が置かれていたり。
せめて子供の給食費くらいは払えるのではないか、という例があった」と、
市教委の担当者は打ち明ける。

 悪質な世帯に対して法的措置に踏み切る自治体も相次いでいる。
未納により不足する材料費分を補うために「(食べる量を増やしやすい)
汁物のメニューを多くすることもある」(学校関係者)という。

 親の自分勝手な論理のしわ寄せは最終的に子供に及ぶ。

 駐車場の車内に乳幼児を放置したまま、パチンコに興じる親も後を絶たない。
業界団体の全日本遊技事業協同組合連合会によると、

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01月09日(火)
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