ID:45126
あんた何様?日記
by 名塚元哉
[35274596hit]
■マスメディアは見世物小屋
加速する『人間消費社会』 “寵児”次々使い捨て
大みそかまで、あと一週間余。今年も数々の「栄枯盛衰」のドラマがあったが、
ふと、かつてないその速さに気づいた。ある人物が祭り上げられ、瞬く間に消えていく。
ホリエモンも、刺客も「使い捨てられる」ように世論に消費された。
振り返る間もない「人間消費社会」。それは何がもたらして、
社会のどんな変化を投影しているのだろう。
識者たちに、この現象の読み解きを託すと−。
東京地裁で二十二日に開かれた論告求刑公判で、
堀江貴文被告はぶぜんとした表情で検事の朗読を聞いていた。
慣れないスーツで被告席に座り、書面を食い入るように見つめている。
ペットボトルの水を何杯も飲み干し、顔色は生気に満ちている。
パフォーマンス色のない“本気”モードだ。
堀江被告は「時代の寵児(ちょうじ)」の名をほしいままにした。
自ら率いた「ライブドア」は二〇〇四年六月、大阪近鉄バファローズ買収に
名乗りを上げる。〇五年二月にはニッポン放送の筆頭株主となり、
フジテレビジョンとの資本・業務提携に持ち込む。
Tシャツ、ノーネクタイで直線的に行動する若者の姿は
各種世論調査でも圧倒的に支持された。
しかし、衝撃の逮捕から十一カ月。
二十二日の法廷では、傍聴席で居眠りする人もいた。
九月の初公判では二千二人が傍聴を求めて抽選に並んだが、この日は百五十六人。
倍率は二倍あまりしかなく、武蔵野市の大学生(20)は
「とりあえず来てみたら、当たった」。
埼玉県新座市の大学講師(32)は「時々傍聴に来るんですが、
傍聴者の関心は薄れていますね」と話す。審理の迅速化でわずか三カ月で
論告を迎えたのに、事件の風化はそれ以上に速い。
■ホリエモン 『刺客』 亀田選手…
ボクシング世界王者、亀田興毅選手も「天国と地獄」を味わった一人だ。
過激な言動で人気が沸騰し、今年八月の王座決定戦の視聴率は42・4%
(ビデオリサーチ調べ、関東地区)に達した。
しかし「疑惑の判定」に世間のバッシングが加速。
二十日の初防衛戦で勝利はしたものの、世間の注目度は格段に落ちた。
堀江被告も出馬した昨年九月の郵政選挙で当選した
「小泉チルドレン」にも“使い捨て”感が漂う。
「造反組」に対する「刺客」として自民大勝の立役者に。
だが、来年の参院選を前に、選挙に強い「造反組」の復党が持ち上がり、
立場が危うくなった。
チルドレンの一部は先月には議員連盟「復党問題を考える会」を結成、
抵抗を試みた。しかし、翌日、頼みとしていた小泉前首相に
「(造反組は)白旗を揚げて土下座した。
それを駄目だという自民党であってはならない」と突き放され、
結成わずか三日目にして総崩れになった。
このあまりに速い“人気者”のアップダウン。これは何を意味しているのか。
若手思想家で「愛と暴力の現代思想」の共著がある矢部史郎氏は
「この現象は一種の見せ物小屋」とみなし、
背景には市場原理主義による身分社会の復活があると分析する。
矢部氏は「天国と地獄を行ったり来たりする人の多くは各分野の二世、
三世といった特権層ではない。堀江被告もそうだし『刺客』でも
イジリやすい女性議員が対象になる。
その乱高下が見せ物で、出演者は身分の低い人間が無難。
同じ階層の観客たちがそのドラマを見て、うっぷん晴らしをしている」とみる。
■『メディアが変化、過渡期』
メディアの変化から分析するのは東京経済大学の桜井哲夫教授(社会学)だ。
「人間が一つの『モノ』として消費されることは四十年前から言われていた。
ただ、そのころはメディアといえばテレビだった。
この十年間の一番の変化はネット社会の一般化。虚実入り交じりの情報が
二十四時間発信できるようになった結果、情報速度が急激に速くなり、
ネタの有効期間が非常に短くなっている」
[5]続きを読む
12月24日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る