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あんた何様?日記
by 名塚元哉
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■水木しげる御大あの世への取材旅行へ出発
「2人とも、徹夜を自慢していたけど、徹夜に殺されたようなもの。
私は徹夜すると1週間動けなくなる。ベビーのころから眠りに弱かったから、
長生きしてるんじゃないかな。眠りこそ健康のもと。だから水木家は病気をしない。
だいぶ殴られたけど、軍隊でも人より1秒でも長く寝ていたから。
顔が航空母艦みたいになるほど長く寝てるから元気ですよ。
空母ですから、力強いですよ」

 21歳のときに召集令状を受け、南太平洋の激戦地、ニューブリテン島(ラバウル)に出征。
空爆で左腕を失った。戦前、戦中、戦後を生きてきた男は
「日本人というのは、理性的というより、感情的な民族と違いますか。興奮して騒ぐ。
善良だけど、あくせくし、あわてる。でも無駄なエネルギーだった、と
戦争に負けてから知った。そして平和になった」と分析する。

 ねずみ男のように、どこにでも順応できた。
戦地ラバウルで、現地のトライ族と仲よくなった。
「畑をやるし、家も建ててやる、女房も世話するから残れって。
向こうにいれば王様みたいな生活が約束されていたけど、残っていれば、
鬼太郎もねずみ男も生まれなかったでしょう」ラバウルとは今でも交流があり、
「海外に行くと、地元の妖怪が私に飛びついてくる」と笑う。

 これまで約60か国を訪れ、「ねずみ男は世界中のどこにでもいる」と確信するようになった。
水木本人が知らない間に、手塚治虫の名作「火の鳥(鳳凰編)」では、
ねずみ男がひとコマだけ、勝手に登場していた。
「そうなの? ずうずうしいというか。生命力があるというか」。
「ミッキーマウス」で知られるウォルト・ディズニーは、
人気が出る前には、ねずみばかり描く漫画家として、
米国では「ねずみ男」と呼ばれていたという“都市伝説”も。
「なるほど。そうですか。やっぱり多少、似たところがあるんですね。
考えてみればミッキーマウスも描き方が違うだけだからな」

 最後に、水木こそ“究極のねずみ男”なのでは、と聞いてみた。
「ねずみ男はあくまでも部下。水木サンは妖怪でも親分の方だからね。
子泣き爺(じじい)みたいな存在だな。
あんまり何もしないのに、何かしたような顔をしている。
10年来、過去の作品をいじくってるだけで、何にもしてないんだから」あくせくと動き回り、
“ねずみ男道”を進んでいけば、理想の境地、子泣き爺になれるかもしれない。(敬称略)

 ◆水木しげる(みずき・しげる) 本名・武良(むら)茂。
1922年3月8日、大阪市住吉区生まれ。生後1か月から、鳥取県境港市で育つ。
境尋常小時代に自分の名前を「げげる」となまってしゃべったことから「げげげ」と呼ばれる。
日本大学大阪夜間中学3年時の43年にニューブリテン島(ラバウル)に出征。
終戦後、武蔵野美術学校卒業。50年に神戸市の水木通りにアパート「水木荘」経営。
翌年、阪神画劇社で紙芝居作家となり「空手鬼太郎」発表。
57年、上京し、貸し本漫画家に転身。処女作は「ロケットマン」。
60年、「墓場鬼太郎」発表。68年、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」開始。
91年、紫綬褒章受賞。96年、文部大臣賞受賞。
03年、旭日小綬章受賞。世界妖怪協会会長。家族は布枝夫人と2女。

 ◆ねずみのキャラクター 十二支のトップバッターでもあるネズミは、
漫画の主人公になりやすく、ミッキー・マウス、トッポ・ジージョ、ジェリー(トムとジェリー)、
ガンバ(ガンバの冒険)、ピカチュウ(ポケットモンスター)など
人気者が多い。愛らしさとは無縁のねずみ男は異質な存在といえる。

 ◆ねずみ男 本名はペケペケ(南方語で大便を意味する)。
人間界と地獄の中間出身の半妖怪で、年齢は360歳以上。
妖怪大学怪奇学科(または不潔学科)卒。なまけ博士号取得。肩書は長寿教教祖、
鬼太郎マネジャーなど無数。ゲゲゲの鬼太郎に対して、ビビビのねずみ男と言われる。
主役作は「ねずみ男の冒険」(ちくま文庫)ほか。
160センチ、49キロ。家族は母と妹(ねずみ女)。
妖子との結婚歴(詐欺被害)あり。

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11月30日(月)
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