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あんた何様?日記
by 名塚元哉
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■ナショナリズムの克服は無理。
 歴史問題が中国や韓国の人たちの感情を刺激し、
それがこじれれば外交上のカードを握られることになる。
日本の近隣外交に大きなマイナスであり、無用な刺激をしないことが大切だ。
首相は靖国神社に参拝しない。歴史ときちんと向き合い、
二度と侵略しない姿勢を鮮明にする。それが出発点だ。

 メディアの影響力も無視できない。大石裕・慶応大教授らは
「メディア・ナショナリズムのゆくえ」(朝日新聞社)で、
昨年の「反日デモ」の深層をさぐった。見えてきたのは、
中国で利用者1億人を超えたインターネットが、
民衆のナショナリズムを吸い上げる姿だ。

 「日本の国連常任理事国入りに反対。日本は侵略を反省していない」。
あいまいな政府見解と比べて明快なネットへの書き込みが共感を呼び、
「反日」がデモの形で現実世界に広がった。その光景がネットや新聞、
テレビで日本にも伝わり、日本の反中意識が高まった。

メディアにはこのように、過剰反応を生み出す面があるが、
大石教授らは「人々の意見を集約し強化する」役割にも目を向ける。
中国のような情報統制が可能な国でも、インターネットの普及で民衆に届く
情報が格段に増えている。これを活用し、日本の誤解を和らげ、
理解を広める情報戦略が欠かせない。

 インターネットには誤報もあるが、それを抑えるのは限界がある。
日本から正確な情報を送る努力が重要になる。
官民ともに、中国語や韓国語でのネット発信力を強めるべきだろう。

 アジアでは人の往来も活発になった。理解の蓄積には、
顔を合わせて話すことも大事だ。

 反日活動家と呼ばれる中国人たちを訪ねて「『反日』とは何か」
(中央公論新社)を書いた熊谷伸一郎さん(30)は
「ネットは誤解も生みやすい。会ってみると、
何に怒っているかがよくわかる」と語る。彼らの名刺には、
「すべての日本人を敵視することに反対しよう」とあった。
「右翼と政治家の言動に抗議しているだけ」ということがわかった。

 青木保・早稲田大教授は、アジアの「都市中間層」の台頭に注目する。
日本のアニメや韓国の音楽を楽しみ、
国境を越えることに抵抗がない若者たちが増えており、
「多様なアジアに初めて共通の文化が生まれつつある」とみる。

 こうした世代の交流が誤解の悪循環を防ぐ役割を担ってくれる可能性もある。
欧州はたくさんの学生を域内で交換留学させ、「欧州市民」を育てている。
アジアでは日本がその音頭取りを買って出るべきだろう。

■終わりに──市場の力と互恵重視の共同体へ

 今後のアジアを考えるとき、地域の中の大国である日本、中国、インド、
域外の米国がどのように共生していくか、が重要なポイントになる。
注目すべきは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の存在である。

 67年に反共同盟として出発したASEANは、
今や社会主義のベトナムなどが加わり、10カ国の所帯だ。
ミャンマー(ビルマ)のような軍事政権もあるし、
タイはクーデターが起きたばかりで、不安定要素は多い。
もともと多民族、多宗教で、欧州連合(EU)のキリスト教のような、
共通の基盤があるわけでもない。

 だが、タイのチャチャイ元首相が唱えた「インドシナを戦場から市場へ」
は現実のものとなった。様々な問題を抱えながらも、
文化の違いを尊重しつつ、焦らずに一緒に歩んでいく。
いかにもアジア的な共生の仕方は、今後のアジアの安定に参考となる。

 政策研究大学院大の白石隆副学長は「アジアには米国とASEANという、
二つのハブ(よりどころ)がある」とみる。

 米国が基点の関係は、日米、日韓などの安全保障条約によるハードなつながりだ。
ASEANが基点の関係は、ASEANに日中韓を加えた
東アジア共同体構想に見られるように、経済を入り口とする柔軟なつながりだ。
アジアの安定にはまだ米国の存在が欠かせないが、白石氏は「日本は、
米国中心だったアジアの秩序が多元的になるよう努めるべきだ」と指摘する。


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11月10日(金)
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