ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■高橋徹也『REFLECTIONS 2018』
高橋徹也『REFLECTIONS 2018』@風知空知

つくづくバンドはいきものだなーと。帰りエレベーターで一緒になったお兄さんとごく自然に「よかったですね…」「ええ、よかったですねえ…」と話す。同じ時間をすごしたひとと気持ちを分かち合いたくなるような、話さずにはいられなくなるようなライヴでした pic.twitter.com/YxpUE9EPZc― kai (@flower_lens) March 21, 2018
このあとふたりしてはあああ〜と感嘆のため息つきましたよね。いーやーここのバンドいつもすごいんだけど、その日の状況や環境、メンバーのコンディションから当日の天気迄“ライヴ”という作品にしてしまう力を持っている。

2004年にリリースされ、現在入手困難のアルバム『REFLECTIONS』。遅れてきたリスナーである当方、何度かAmazonで購入を試みるも入手出来ないままです。アラートも設定していて、「ご注文いただけるようになりました、在庫があるうちに是非☆」という通知がある度手続きしても「発送までしばらくお待ちください」というお知らせが何度か届いたあと、結局「やっぱり用意出来ませんでしたテヘ☆」みたいなお詫びが届くあのシステム、なんなんだろう…何度ぬか喜びしたことか……。タッチの差で他の誰かが先に買ったのなら購入手続き迄いかないと思うんだよねえ。

それはともかく。何故今? と思いつつも、『REFLECTIONS』の楽曲がライヴで聴ける機会が唐突に訪れたものだから、とても楽しみにしていたのでした。成熟どころかそのポテンシャルは天井知らず、コンビネーションの充実ぶりを見せつけてくれるバンドが演奏するわけで、所謂記念碑的な「再現」だけでは終わらないだろうという期待もありました。季節外れの冷たい雨のなか(昼過ぎ迄雪だった!)ウキウキ下北沢へ。

収録楽曲は全て演奏されました。ライヴで初めて聴く曲も多かったんだけど、発表された時代が反映されているなあという印象が結構あった。フュージョンやフューチャージャズ、クラブ/ビートミュージックの影響も感じられる。人力ブレイクビーツみたいなリズム展開のものもあってたまげた。勿論初めて聴いたのでタイトルが判らず、いつかアルバムを聴ける日がきたときのためにと必死に歌詞を追っていたんですが、これがまた奇跡のように「流石、音と言葉で絵を描く高橋徹也だぜ!」といいたくなるシチュエーションを呼び込みましたよ。風知空知にきたことがある方はご存知でしょうが、ここはサンルームのようなスペースがあるのです。後方に席をとると、所謂フロア部分とそのサンルームの境目の位置になるのですが、そこがまあ雨の音がすごい(笑)。雨の日にきたのが多分初めてだったもので、開演迄これはどうなるかなと不安に思っていたのです。幸いバンドセットの音は後方迄しっかり届いてくれました。そこへ件のブレイクビーツの曲。うわっ、こんなアレンジの曲があったんだ。脇山さんのドラムすごいな、スネアの残響が気持ちいい、なんて思っていたところ耳に飛び込んできた高橋さんの声、「窓の外は雨」。

もともと雨も冬も大好きだがこういうことがあるともーギャッハーとなりますわ。ちっちゃい声で「ぅぇ」くらいは口に出してたかもしれん。風知空知以外のライヴスペースで、バンドの音と、雨の情景を唄う高橋さんの声と、雨の音をいっぺんに聴ける機会はそうそうなかろう。サマソニでNINが演奏してるときどしゃ降りになって、ステージ後方で稲光が閃いたときくらいアガったな!

セットリスト(後述)からするとこの「ストレンジャー」と、その次に演奏した「夜の亡霊、夜の国境」がまーすっさまじかった。「ストレンジャー」のアウトロにあっけにとられ、拍手することにすら戸惑っていると間髪入れずに次曲のイントロへ。ここが最高到達点だ、と思ったときにはもうそこにいないよね…もっと先に行ってますね……このバンドが「新しい世界」や、この日演奏された「ユニバース」をレパートリーに持っているのって象徴的だ。上昇が続く。ようやく終わりが見えてきた、という気配とともに、弾けるように歓声と拍手が起こった。この二曲の流れは圧巻だった。


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03月21日(水)
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