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by kai
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■『堕ちる』
『堕ちる』@シネマート新宿 スクリーン1

猫のホテルの中村まことが主演、ということで観てきました。短編ということもあり、これ迄映画祭やイヴェントでの上映が主だったので、なかなか観る機会が得られなかった。しかし口コミの効果か制作の尽力か、映画館での公開が決まりました。最終日に行ってきたのですが、スクリーン1(大きい方)での上映でした。レイトにもかかわらずなかなかの客入り。すごい! 監督は村山和也。

【4/8劇場公開】
色んな映画館に門前払いされ、変な人に騙されそうになりながら、やっと辿りついたシネマート新宿にて、個人配給で短編という異例の映画が公開になります!
前口渉による名曲「wonderland」が聞けるのは、映画館だけ!https://t.co/wGi1HlfCFn— 映画『堕ちる』@シアターセブン4/29〜 (@ochiru_film) 2017年4月6日

よかったですねえ。

群馬県桐生市が舞台。美しい街の風景や、粋をこらした伝統工芸品の紹介作品としても楽しめます。主人公がみるみる“堕ち”ていくスピードとは裏腹に、時間の流れがゆったりと感じられる。濃厚な32分。何かにハマったことのあるひと、誰かを応援したいという気持ちを持ったことがあるひとにはグッサリ刺さると思います。そして「これでよかったのか?」「これでいいのか?」と考えさせられることも多かった。どこに線を引くか、どこからアウトか、ということを考えてしまう。

主人公はローカルアイドルの虜になり、ライヴに通いつめ、応援するべくあることを思いつく。それは職人としての自分の腕を活かしたもので、おろそかだった仕事に熱心になる。

ここ迄で、もういくつも「うわーいいのかいいのか」という思いが次から次へと浮かんでくる。どこ迄意図的なんだろう。そもそものきっかけは通っている理容店の娘の脚だった。短いスカートからすらりとのびた健康的な脚。つい見てしまう。コンサート会場へ出かけると、ジャンプしたアイドルのパンツが見える。仕事には熱心になったが、それは会社の備品と就業中の時間をまるまる使ったもので(これは後にある意味還元されるのだが)、ルーティンだった暮らしに変化は出たが、ひとつのことに夢中になるあまり生活自体は荒れてしまう。

なにかを好きになるときの高揚感と、なにかを好きになるとひとが生きていくうえでのバランスを失ってしまう怖さ。ただの献身に利益が生まれたときの罪悪感も描かれる。後述の記事にもあるが、監督はこの作品の結末を主人公の「『上がり』だと思って作った」そうだが、アイドルファンである観客から「あれは『堕ちた』」んだと指摘されたとのこと。好きになるってなんだろう? 応援するってなんだろう? どこ迄「純粋」なのか、どこからがおせっかいなのか、どこからストーカーになるのか、そしてどこからがアイドルを性的対象として見ていることになるのか? 観終わって、時間が経てば経つほど疑問がわいてくる。この作品について思い続ける。

そういう意味でも「映画」を観た! と思わせられる作品でした。映画館で観られてよかった。

まことさん格好よかった…そしてあの美声があのひとことだけに使われる贅沢さよ。沈黙の表情、輝く目と濁る目、ものいわぬ雄弁っぷり。ラストシーンはご愛嬌と捉えました。あの板についてない服な。格好よかったけどな(笑)。アイドルめめたんを演じた錦織めぐみは、Luce Twinkle Wink☆というグループのひとだそうです。容姿もかわいいが声がとてもかわいかった。彼女もどんどん表舞台に出ていくのかな。そのとき彼女のファンたちはどんな思いを抱えるのだろう。

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・映画「堕ちる」公式サイト

・「堕ちる」結末にアイドルファンだけが恐怖する - エキレビ!
・無口な織物職人が地下アイドルにハマっていく問題作・映画『堕ちる』が衝撃的|IRORIO
04月14日(金)
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