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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『シン・ゴジラ』(TCX)
『シン・ゴジラ』(TCX)@TOHOシネマズ新宿 スクリーン9
ウアアアアア〜一刻もはやくリピートしたいのに今月前半は一年でいちばんの繁忙期なのでした。ロングランは間違いないと思うのだけど期間限定のIMAXに間に合うか〜。てか大きなスクリーンのうちに何度でも観たいヨー!
以下ネタバレありありなので、これから観ようと思っているひとは読まない方がいいです。webやらなんやらのテキストであらすじやみどころを知るより、スクリーンの前で初めてそれを前にして「えええ!」とか「ぐああああ!」となる貴重な体験を逃すのはもったいないですよ! 観るといいよ〜ホントに〜としか言えない。
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ゴジラ知ってるよね〜、あのゴジラがまた来襲したぞー! というシリーズ概念ではありません。巨大不明生物が東京に現れたら? 初めて体験する未曾有の危機に、ひとびとはどう対応するか。対応に追われる政治家たち、現場に赴く自衛隊員、打開策を模索する研究者たちに焦点が絞られていて、極めて機能的にストーリーが進む。まさに「現実(ニッポン)対 虚構(ゴジラ)」。被災者の描写は最小限に留められ、感情がそちらに揺れるのを抑えている。
震災以降でなくては生み出せなかった作品。ある意味「3.11」のシミュレーションでもあり、ゴジラは原発を象徴するものとなっている。あのときああだったら、こうすることが出来たら。という願いのようなものであり、同時にそうしたひとたちは少なからずいたのだ、というしらせにもなっている。皮肉は利いているが過剰な揶揄はない。幼生のゴジラ(てか成長するって考えてなかったんですごいビックリしたよ! キモいよ、でも途中からかわいく見えてくるよ! よだかみたいな顔だよ!)が上陸する描写は、当時何度も目にした津波で押し流される船の映像が明らかに参考になっているし、瓦礫化した都市の様子も同様だ。転んでもただでは起きない、クリエイターのタフネス。非常時(を経た)エンタメに何が出来るだろう? の答えだ。あれから五年、こういう形で還元されたことに胸が熱くなる。スクラップアンドビルドだ。「その後」がこう描かれた。
技術力、解析力、交渉術。軍事力、核使用に対してどういった態度をとるか。あと何日、あと何時間。カウントダウンが迫るなか、極限の状況に立たされたプロフェッショナルたちの奮闘に心が沸き立つ。そして信じる力。終盤、自分たちの研究や技術ソースを盗まれてしまうと危惧する部下に対して上司が穏やかに放つひとこと、「ひとを信じましょう」が胸に迫る。
オールスターキャストもいいとこで、あのひとがこんなところに! あのひとがあの役を! といちいち驚くだけでもお腹いっぱいになるんですけど、思わぬところに舞台人が配されていて、それに気付く楽しみもありました。河野洋一郎が(結構偉いひと)! 小林隆が(あの落ち着いた声の説得力)! と中盤迄はアワワアワワとなりっぱなし。あのー元ネクストの小久保寿人がどこに出てたか判ったひとは教えてください……。ANIもどこに出てたか判らんかった。そして野村萬斎、知ってから観たけど初日に情報なしで観たひとは「ど、どこよ?!」て思っただろうなあ(笑)。ひいきとしては、塚本晋也(の役)がちょーアナログな解析をするところにグッときた。あの図面、自分で描いたんじゃないかなーと思わせられちゃう、塚本さんの描く絵コンテそっくり。そして鋼の無表情を貫き通していた市川実日子が最後の最後に見せる表情がとても効いてる。高橋一生の「ごめんなさい」もよかったです!
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07月31日(日)
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