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by kai
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■『30th(ス)だよ! パール兄弟!』
『30th(ス)だよ! パール兄弟! 〜パール兄弟レコードデビュー30周年スペ・ライブ〜〜〜』@Shibuya CLUB QUATTRO

パール兄弟(Vo:サエキけんぞう、G:窪田晴男、B:バカボン鈴木、Drs:松永俊弥、Key:矢代恒彦)
Guest Vo:CHAKA

キエー30周年ですよ。数年前から五人が揃い、「盆暮れのパール」の通り名を再現するかのような活動を始めていたパール兄弟。SNSも駆使した準備期間をじっくり儲け、華やかなお祝いライヴです。タイトルの“th(ス)”は松永さんのthの発音が絶妙で、一時期「まthながです」と自己紹介するのがはやってたとこからきてると思われる。FC会報の座談会でやってた。ええ、FCにも入ってました。パール兄弟は、音楽リスナーとしての自分の基盤になっているところがある。それくらい影響を受けました。あらゆるルーツをガツガツ消化し、それらをスマートなポップスに昇華する。それでいて残る奇妙な後味。いろんな音楽をスポンジのように吸収する十代の頃、パール兄弟に出会えてよかったと思っています。

そんなこんなで長生きはするものだ、ここでは私も若手です(笑)。フロアには管理職、いや経営者クラスかってな風貌のひとでいっぱい。今日を楽しみに会社を定時で出てきたよってなスーツ姿のひと、悠々自適のご隠居さんみたいなひと、昔っから自由人ですってなヒッピーみたいなひと。目をキラキラさせて開演を待ってる。始まったら怒涛の歓声です。皆声が野太い、男女ともに歳とると高音出なくなるからな……。この歳になると好きなアーティストが死んじゃったり行方不明になったりするし、身近なひとにもそういうことが増えてくる。皆が元気で、演奏出来る状態で揃うってことが奇跡みたいに思えてくる。それはフロア側も。無意識に川勝さんの姿を探しちゃう。来てたらなんて書いたかななんて考えちゃう。

上手側に設置されたスクリーンにオープニングとエンディング映像が流れ、曲間にはサエキさんがメンバー全員にインタヴュー。バンドの30年を振り返りつつ、近況も話す。窪田さんとの「フー・マンチューみたいになってるよね」「最近中国系? って訊かれる機会が増えてねえ」てやりとりにウケる。バカボンが僧侶修行時代お盆の棚経で一日40軒まわった話もおかしい。「移動もあるし、一軒12分てとこだよねえ。その間挨拶したりお茶飲んだりお菓子も食べたりするわけだから」「もうバンド始めてたんで、ツェッペリンのポスター貼ってある部屋とかあるとびくびくしてた」。松永さんはもはや鉄板のまーちんネタで、まthながの話題は出なかったわ……。矢代さんも同じくサポートネタ、KANと吉川晃司と真逆のバンドにいるとこがすごいとかそういう話。皆さん腕利きですからねえ。

メンバー全員が元気に揃うことが出来て、演奏はよりキレッキレのうえ円熟味を増してる。それが聴ける。なんて幸せなことなんだ。サエキさんが「体重と肌のたるみ以外は変わらない、いや、よくなっているところもある」みたいなこと言っていたけどそのとおりですね。日々の本番が練習みたいなミュージシャンがリハきっちりやって備えたこの日の演奏の凄まじさと言ったら! このグルーヴマスターどもめが! 窪田さんのメインギターは勿論Aria Pro II / RS-850(以前張ったけどここがいちばん説明が丁寧なのでまた張る。有難うございますー)、そうそうこの音! 「ヨーコ分解」が始まったらバカボン側に乗り出す人多数。皆さんわかってらっしゃる、スティック演奏するからね。録音されてる緊張か気合い入りすぎたか段取りに気をとられてか、サエキさんの歌はちょっと不安定。でもホント喉強くなったよね、それが実感としてあるから「よくなっているところもある」と言ったのではないだろうか。そして何より誰も真似出来ない、唯一無二の歌詞世界。これこそパール兄弟。


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06月28日(火)
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