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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『野火』展、KUNIO12『TATAMI』
『野火』展@ギャラリー山陽堂
表参道の交差点にある書店。通りかかるといつもそこにある、と言う感じ。あたりまえにある風景だと思っていたので、一時期リニューアルのために閉店したときはドキリとした。そして今年、新聞でこんな記事を読んだ。
・『表参道、生死を分けた書店 山の手大空襲伝え続け70年』:朝日新聞デジタル
『野火』展が開催されるとのお知らせをtwitterで見て、すぐこの記事のことを思い出した。その書店でこの展示が行われることを考える。
ギャラリーは2〜3階。メゾネットのようなつくりになっていて、螺旋階段を上っていくとそれぞれ独立したフロアに着く。2階にはスチール写真と監督の直筆挨拶文、数点のイメージ画、ポスター、関連書籍やフライヤー。3階に絵コンテ、衣裳、小道具、メイキング映像。2階のみ撮影OK。
塚本監督の描く絵がかわいいと言うのは有名だが、そのタッチで執拗に描きこまれた絵コンテには人体損壊のディテール、その美術を作り上げるためのアイディアメモ(素材や造形方法についての細かい指定)がビッシリ。どのように身体を傷付けるか、こう力を加えられた身体はどういう流れで肉塊になるか、その肉塊、人間が、どういうふうに物体になるか。いかに偽物を本物のように見せるか、撮るか。プロデューサーとディレクターの両面性が窺える。スポンサーがつかなかったこと、の困難さを思う。
シネマトゥデイの『「野火」への道』に詳しいが、ヘルメットや銃は発泡スチロールやアルミ箔、ベニヤ板で作られている。護送車に至ってはダンボール製。映画を観たひとなら解るだろうが、これらが全くそう見えなかった。つまり、ハリボテに見えなかった。今回展示を見ても、成程確かに近くで見れば銃には装備がない。板を銃の形に丁寧に削り、塗装を施しているだけだ。しかし、その質感がすごい。野外で使い込まれたかのような汚れ、垢の再現。衣裳の傷み具合も腐臭を発しているかのようで、思わず息をとめてしまった。等身大のスタンドに衣裳を着せたものがメイキング映像を流しているモニタの後ろにあるもんだから、集中して映像を観ていたひとが、ふと振り向いて「うわっ」と驚いていたりする。兵隊の亡霊が立っているようだった。ありきたりな表現だが、衣裳や小道具に込められた製作者の気迫が今でもこの空間に漂っているのではないかと思う程だった。
自主製作の基本でもあるDIY精神には、執着(執念と言った方がいいかも知れない)とそれに伴う技術が必要だ。限られた予算と時間のなか、どこ迄出来るか。その最たるものを見せられた気分になる。腰が低く押しが強い、監督の姿勢はずっと変わらないなと思う。このひとは撮ると言ったら必ず撮る。そんなひとにはこれだけのスタッフが集まる。完成して本当によかった。長い時間をかけて、多くのひとに観ていかれることを願う。
開店と同時に入ったので鑑賞者は少なく(それでも何人かいたが)、タイミングによって全くひとりで展示を観られる時間もあった。早起きして行ってよかった。
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・2階の様子、タンブラにあげときました
補正しないまま載せてるんであんまり綺麗な画像じゃないが〜
・原作・大岡昇平 監督・塚本晋也 『野火』展示|ギャラリー山陽堂
展示が実現した経緯はこちら。監督がtwitterにも書かれていましたが、店主は中学の同級生。縁、について考える
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KUNIO12『TATAMI』@KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ
何故早起きせねばならなかったかと言うとこれとのハシゴだったんですわ。終演後だと展示の終了時間に間に合わないのでな……と言う訳で表参道からの〜横浜。
うわあああ常日頃考えていることをこうもズバリと描かれると…鳥瞰気質の作家と演出家が組むとこうなるかと。脚本・柴幸男×演出・杉原邦生。美術も杉原さん。
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08月29日(土)
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