ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『新しき世界』
『新しき世界』@シネマート新宿 スクリーン2

twitterのTLであまりにも評判で……新宿の金券ショップで前売り券が800円で叩き売りされてるよと言う情報もtwitterで教えてもらった。感謝だわ……。しかもこれ、初日開いてからやたらと売れだしたのに店側があれっと思ったのか、しばらくして値上げされると言う珍事が(笑)。口コミってすごいですねえ。と言う訳でチケットも購入し、いつ行けるかとやきもきしていたところ、大雪で仕事早くあがっていいよ〜となったので喜びいさんで出掛けて行きました。早く帰ることの意味を履き違えている。

フロント企業化した大型犯罪組織の会長が不可解な交通事故死を遂げ、後継者争いが勃発する。組織に送り込まれて八年、ナンバー2のひとりに絶大な信頼を得る迄になった潜入捜査官に新たな指令がくだる。その作戦“新世界プロジェクト”は、当人たちを予想もつかない新しき世界へと導くことになる……。

いや、これは………口コミに感謝だわ!!!!!韓国ノワールにはてんで疎かったのですが、これにはヤラれた。シビれた。ひとの感想(皆熱い!下にリンク張っておきます)読むのが楽しくてもう私が何書いてもなって気分になっておる程ですが、備忘録としても書いておく。以下ネタバレ全開です。ヤー!

とにかくホンが面白い。構成が見事。物語の余白と、その余白を埋めるほんの少しの情報、登場人物たちの語らぬ胸の内と、それが明かされるタイミング。手札の出し順が絶妙です。捜査官、その上司、ナンバー2である“ブラザー”。彼らの出自や出会いは時間通りには出てきません。彼らはどういう人物なのか?何故そんな言動をするのか?その冷酷さの裏には何があるのか、彼らがこういう関係になる迄、どんなことがあったのか。物語が進む途中で、或いは物語の終わりにするりと滑り込むほんの少しのエピソードにより、それらはある種の回答と、新しい謎を呼ぶ。監督・脚本を手掛けたパク・フンジョンによるとこの作品は三部構成の第二部にあたるものだそうで、残りの二部も映画化したいと言うヴィジョンはあるとのこと。うわー、観たい!観たいです!

事故は仕組まれたものかそうでないか、遂に明かされることはないのですが、個人的には(そして現時点では)チョンチョンが仕組んだものだと判断しました。警察の可能性も消せないが……。でも、あの最後のシーン。六年前の彼(チョンチョン)ってアホの子チンピラみたいだったじゃないですか…それが六年と言う短期間でナンバー2の地位に迄上り詰めるって、実は相当立ち回れる人物の筈。余程の才と野望、非情さがないと…警察(カン課長)との取引や、スパイや裏切り者への仕打ち等、そう思わせられるところはあるにはあったけど、確信に到った要因はこの最後のシーンに依るところが大きい。で、そんな非情なチョンチョンがジャソンに対してはああいう選択をしたってところがまたグッと来る訳です。ジャソンが潜入捜査官だったと知ったときのチョンチョンを思うと胸が潰れるわ。

てかあのシーンを最後に持ってくるって構成がな!ジャソンがあんなに屈託なく笑ってるの、あのシーンだけじゃないか…どんだけ遠いとこに来てしまったかって話ですよ……。

こういった「ヒントの出し方」が絶妙なのです。韓国華僑であるチョンチョンとジャソンの関係性、厳しい儒教思想、「韓国では目上のひとの前では煙草を吸わない」と言った(TLで知った。有難い)礼儀…知れば知る程、気付けば気付く程膝を打つ場面が増える。チョンチョンが自分のルーツを誇りにしているのだろうなと思わせられる、食事のシーンもよかったなあ。抗争も銃はあんま使わなくて刃物(ドス?ドスなの?柳包丁みたいなの。怖い!)と金属バットなんですよね…これもお国柄か。ハリウッドリメイク決まってるそうだけど、ここ銃になっちゃうだろうだな〜金属バットってのがいいんだよ!


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02月14日(金)
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