ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『高橋徹也と鹿島達也』
高橋徹也 デュオ・ワンマン『高橋徹也と鹿島達也』@SARAVAH Tokyo
ベスト盤が再販になったばかりで、初心者には嬉しいタイミング。ちなみにこのベスト盤、菊地成孔が参加している楽曲も入ってておおうとなりましたよね…なんだかんだで自分の嗜好が判ると言うか(笑)。しかしこの時期の菊地さん、鬼のようなスタジオ仕事量だったそうだからなあ。窪田晴男もだけど、彼らのスタジオ仕事を網羅するのは気が遠くなる話。逆に言えば、こうやって偶然出くわすこともあり、嬉しい驚きも味わえる。ベスト盤は90年代をひしひしと感じるミックスで、うわあこの質感懐かしいと思うと同時に、それと相反する楽曲の瑞々しさにはっとさせられることしきり。そしてこのヴェルヴェットヴォイス!すっかり愛聴盤です。廃盤になっている過去作品も集められるといいな。
閑話休題。本日のライヴはVo、G:高橋徹也、B:鹿島達也のデュオ。ライヴに行き始めたのは昨年から、今回で三本目ですが、その三本とも編成が違い、興味は募る一方です。そして高橋さんのレコーディング作品にも数多く参加している鹿島さんは、当時オリジナルラヴのサポートでよく聴いていたベーシスト。ううむこの人脈、自分の嗜好が(略)
オープニングは「ブラックバード」。第一声で場の風景をがらりと変える、これには毎回鳥肌がたつ。高橋さんはエレクトリックとアコースティックギター、鹿島さんはエレキとアップライトベース、弓弾きする場面も。フローリングのフロアが程よく音を吸収し、柔らかい響きで場を満たす。寒空のなか尋ねた家で、暖かい飲み物をいただいたような気分。
音源を入手してタイトルを憶えたものも増えてきているのだけど、ライヴで一度聴いただけの曲がこれだけ記憶に残るってこと、なかなかない。特に今となっては(笑)。いや、この歳にもなると「あ〜、このバンドはあのバンドの影響を受けているのだなあ」とか、余計なことを考え乍ら聴いてしまいがちなのだ。それがないと言うか…ルーツはジョニ・ミッチェルと聞き成程とは思うものの、あの歌声を前にすると、そういうルーツ云々の分析は後でよい、と言う気分になる。メロディラインが自分の好みだと言うこともあるのだろうが、あの声で奏でられるメロディと言うものがいかに強烈か、に尽きる。格別です。
そこに言葉がぴたりとついてくる。登場する人物、その人物がいる場所、見ている風景が、鮮やかに眼前に浮かび上がる。タイトルが判る前は歌詞のセンテンス込みで歌を憶えていた。詞、曲、声が、他には有り得ないと感じるようなかたちで肌を合わせる。身体の相性、と言う言葉が浮かぶ程。セクシュアルでもあるのだ。
レコーディング作品には饒舌なテキストも掲載されているのですが、頭のなかで描かれた風景が曲になるプロセスを読ませてもらっているようで興味深いものがあります。
若干緊張していたらしく(本人が珍しく緊張して…と言っていた)魅力である声が上擦る場面もありましたが、その危うさすらも色気になるなあ。そして演奏と歌に集中するためか、MCがぐだぐだです(笑)。「海パンを履いたのは中学校の授業以来かな…」とか言い出すのでいきなり何だと思えば、直前にやった曲が「太平洋」だったからでした。カセット作品に収録されていたと言うちょうレアな曲で、ライヴで演奏するのは初めてかも、とのこと。鹿島さんについての話も面白かった。デビュー前、レコード会社のお偉方にこういう子がデビューしまーすとプレゼンテーションをする機会があり、そのライヴ用のバンドメンバーとして紹介されてからのつきあいだそうです。そのバンドには加藤隆志さんもいたそうで、「彼は今東京スカパラダイスオーケストラのメンバーで、こないだ一緒に焼き肉食べに行ったらいい焼き肉屋になってた」だって(笑)。
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02月07日(金)
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