ID:43818
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by kai
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■『アメリカン・ハッスル』『銀河系の果てを聴く』
『アメリカン・ハッスル』@新宿武蔵野館 1

いんや面白かった…んが〜じわじわ苦い!せつない!やっぱりねえ、ひとを騙したら騙した分の何かを受け取らねばならんのよ…受け取るってのは喪失も含めてですよ。因果応報ってことかも知れんが、それにしても苦いわ…デヴィッド・O・ラッセルの厳しさと優しさよ。ある側面から見るとハッピーエンドだけど、違う側面から見ると皆一生消えない傷を負ってる。

し〜か〜し〜個人的にはジェレミー・レナー目当てで観に行っているので、ジェレミー(の役)の肩を持ちたいわけですよ。ジェレミー騙すのやめて!可哀相だから!(泣)いやだって、いちばん善人じゃありませんでしたか…ってか別に悪徳政治家じゃないじゃない!汚職に手を染めるって言葉で片付けられない!ひと騙してないの彼だけじゃーん!ちょういいやつじゃーん!騙してないのにあんな目に遭うじゃーん!何それあんまりだよ!感嘆符もいっぱいつけるよ。か・わ・い・そ・う!!!!!かわいそう!!!!!しかも騙されっぷりがあまりにも素直ちゃんでかわいくてますますかわいそう。ああジェレミー戻っちゃダメ!その話にのっちゃダメ!と思っても何も出来ない観客のつらさよ。シークから宝物でーすって贈られた短剣を受け取るときパッと花が咲くような笑顔を見せる、この表情がまたすんごいよくてさ!スピードある展開で、具体的な言葉も少ないけど、アーヴィン(クリスチャン)と明け方迄語り合ったあの夜の描写とかさ…アーヴィンのことほんとに友達だと思ってたんだよ!あああもうかわいそう!!!!!

もうね、あの髪型も見慣れてくるともうかわいく見えるよ…撮影当時流れてきた現場の画像見て散々笑ったけど悪かったよ。まあそれは皆さんそうで、クリスチャンの1:9分けもブラッドリーのパンチパーマ(カーリーってことらしいがもうパンチにしか見えない。パンチって日本にしかないの?ってそもそもなんでパンチって言うの?…と思わず検索したらこんな由来だった。ある意味まんまだった)もジェニファーの似合わない盛り髪も、話が進むにつれそういうことなのか…と感じる部分が出てきてそれがまたせつないのな。オープニングで髪型を懸命に丁寧に丁寧に整えるアーヴィン、母親と同居してる家でホームパーマ(この言葉ももうあまり聞かないな)巻いてるリッチー(ブラッドリー)。リッチーに髪をぐちゃぐちゃ〜てされたときのアーヴィンの顔!ショックと怒りで泣く寸前みたいになって言葉も出ないあの顔!それを見て「とても時間がかかるの」とだけ言うシドニー(エイミー)…もうここで「この映画、……好き!」と思いましたよ。滑稽やらつらいやら。

て言うかブラッドリーも可哀相だったよ…アホでかわいそうな子のことが気になりますね……。まあ皆可哀相と言えば可哀相なんだが、どこでストーリーを切るかってとこですよね。今作はアーヴィンとシドニーと言う人生でもビジネスでも最高のパートナーを見付けたふたりが穏やかな幸せを手に入れる迄、と言うのがひとつの流れなので、カーマイン(ジェレミー)やリッチーのその後に焦点は合わない。それが余韻にもなるんだけど、どの人物に肩入れするかってとこですよね。ジェニファー演じるロザリンも、いちばんひとたらしだったけどいちばん生きるのがつらい人物なんじゃないかなと思える。ロザリンほんとうざくて面倒くさくて近くにいてほしくないけど、全く憎めない人物だった。カーマインがくれた電子レンジを即ぶっ壊したときはちょっと憎しみ湧いたけど(笑)。キッチンの黒焦げ壁紙がずっとそのまんまで(ロザリンの無頓着さが現れてるよ…)キッチンが映るたんびにせつなおかしかったわ…何日経ってもあのまんま……。

いんやそれにしても試合巧者の役者陣素晴らしかった。ブラッド・ピットばりに八時二十分眉になってるクリスチャンをあんなに沢山見たのも初めてだ(笑)。ノンクレジットで出てた彼にもビックリ、知らなかったよ!そしてサントラ、70年代コンピとしても素晴らしい。ロザリンが「死ぬのは奴らだ」を絶唱するシーン、すごくよかった。

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『銀河系の果てを聴く』@WATARI-UM

齋藤陽道『宝箱』展のライヴイヴェント。山川冬樹さんが聴覚以外の器官へと奏でる音楽。


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02月01日(土)
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