ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■yanokami indoor festival
yanokami indoor festival@LIQUIDROOM ebisu
先週の23日、@PearlJamから“Happy birthday, Layne. We miss you!”とツイートが流れてきた。時差があるので、アメリカでは22日。思えば命日のことはよく憶えていても、誕生日を意識することがこれ迄なかった。ALICE IN CHAINSのレイン・ステイリーが亡くなって11年になる。生きていれば46歳。
その流れで最近レイン周辺の音源をよく聴いており、彼が参加していたMAD SEASONのアルバムも開いた。今年の春、デラックスエディションとして再発されたものだ。このシアトルのバンドはレインと、ジョン・ベイカー・ソーンダースふたりのメンバーを亡くしている。ライナーに、残されたメンバーであるバレット・マーティンが、ジョンの葬儀で弔辞に引用した言葉を書いていた。シアトル市名の由来となった、ドゥワミッシュ(Duwamish)族のシアルス(Sealth)酋長の言葉。「死など存在しない。あるのは世界の変化だけだ」。
ハラカミくんの誕生日に京都で行われている『広い世界』のことを思い出した。彼は今42歳。命日だけでなく誕生日のことを思い出す、と言うのはいいことだな。世界は広い。違う世界で彼は歳を重ねていると思えば、少し心が軽くなる。
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インドアフェスとのタイトルだったので、出演者が順番に演奏して行く感じなのかなと思いつつ入場すると、既にyanokamiのセッティングがされていた。yanokamiの演奏にゲストが絡んで行く進行なのだと了解する。アナウンスされていたゲストはU-zhaan、砂原良徳、ILLREME、森下真樹。PAはzAkさんだったとのこと。演奏は勿論のこと、構成演出も素晴らしかった。フェス自体がひとつの作品だった。矢野さんとユザーン、スタッフの方々が丁寧に、だいじに、考えに考えて作りあげた作品だ。yanokamiの楽曲、ゲストの選んだ楽曲、そしてハラカミくんがソロで作った楽曲が、普遍性を持ったまま新しく生まれ変わるさまが色鮮やかに拡がった。
矢野さんのショルキー演奏も飛び出した(!)アクティヴな「にじぞう」、矢野さんとユザーンの人力ドラムンベースのような「終りの季節」、矢野さんの“たいこだけで、やっていけるんですかぁ?”が聴けた(爆笑)「川越ランデヴー」、ハラカミくんへの手紙のようなイルリメのラップ。まりんは「Bamboo Music」「おおきいあい」ともに原曲を想起させる鋭いトラックを提供。「ハラカミくんのトラックは難しいんですよ、腹立つ」なんて憎まれ口を叩いていたが、オリジナルからのサンプリングなし、88不使用で「Joy」を完コピした彼なりの愛情表現だろう。リキッドのステージ、フロア、PA隣のスペースを自在に行き来しyanokamiの楽曲に肉体性を加えたダンサーの森下さんは、昨年の『TOKYO M.A.P.S Akiko Yano Edition』にも登場した「yanokami舞踊部」だ。「東京コシツ」は「独身男性は肉じゃがに弱い」なんて声ネタをサンプリングして使っていたハラカミくんのユーモアに通じるものがあり、思わずニヤニヤした笑みが零れる。ユーモアと言えば、まりんが辞めて十年以上経つのに「あの、電気グルーヴって、今……?」と訊いた矢野さんもすごいが「ふたりとも死にました」と応えたまりんの毒っぷりも見事。こういうとこ、彼があのふたりに挟まれ電気に在籍していたことを納得させられる要素でもある。笑いとともに一瞬場がしんとなり、慌てたように「天国でハラカミくんと仲良くやってると思います」と付け加えてまたウケていた。こういうブラックさ、ハラカミくんにもあったなあ。まりんは「おおきいあい」のオリジナル収録アルバム『グラノーラ』リリース日迄記憶していて、そういやこのひとYMOカルトQキングだったわと思い出した(笑)。個人的にもこのアルバムは、窪田晴男が参加していることもあり(しかも「おおきいあい」は矢野さんと窪田さんの共作なのだ)思い入れがある。
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08月30日(金)
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