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by kai
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■ハイバイ10周年記念全国ツアー『て』
ハイバイ10周年記念全国ツアー『て』@東京芸術劇場 シアターイースト

やっと観に行けました『て』。改題(「その族の名は『家族』」)含めて今回で四演目。初見は舞台で!なタチなのですが、逃しに逃して待ちきれず、結局先に映像(菅原さんが母役の再演版)で観てしまった作品です。

祖母の葬式に集まった家族と、その少し前カラオケ大会に集まった家族のあれやこれや。前半は次男の視点から、後半は母の視点から同じ場面を繰り返します。それぞれの家族の事情が浮かび上がる。おまえはそれを知らないからそんなことが言えるんだな、おまえはそれを知ってるからそんなことを言うんだな。ののしりあってとっくみあいして、それでも家族、どうやっても家族。泣いたり笑ったり憎んだり愛を注いだり、それでも離れられない家族。

まああれだ…ウチも結構こじらせ家族なんですけども+そして母の葬式であれやこれやありましたけども+その後もあれやこれやで解決してないことも多く、これからもそうなんだろうけども、もー身につまされて大変!のたうちまわりましたね。いや実際客席でのたうちまわったら周りに迷惑ですので脳内でのたうちまわりましたけどね。あとどなたかがツイートしてたけど「アフタートーク等で反応を聞くと、父親に対して東京だとドンびきするひとが多いのに九州だと『ああ、あるある〜』だったりする」ってなんか解る…解るぞ!

でも私、おとーさんのことだいきらいでだいすきですよ。そしてとても感謝してる。だからこそいろいろせつなくなります。そしてだからこそ、これを「DV」の一言で片付けてしまうと、だいじなことを取りこぼすと思っています。名前を付けたからって安心してんじゃねえよってやつです(同時にこのややこしさを言葉に置き換えて伝えることの難しさを思う)。その辺りいろいろ複雑なのよ。おめーにわかるかってどの家族も思うところってあると思うのよ、おめーに「それこそがDVなんです、大変でしたね!」とか「暴力を恐れて反抗出来なくなってしまうんです、つらかったでしょう!」とか言われてたまるかと言うね。そして「つくりが違う」長女の旦那さんにほっとする。

そういう要素がない家族っているんだろうか。まあ、いるか。

さてそういう個人的なことはさておき、今回実際に舞台で観て、何度も上演される訳だわと納得。なんてったってとにかく「面白い」。その「面白さ」が再演に耐えうる強靭さと柔軟さを兼ね備えているだけでなく、丁寧な構成、演出、改訂を重ね磨き抜かれている感じです。今回あの「葬儀屋をしばく」シーンがなかったことも印象的。意図的な笑いを入れ込まずとも、泣き笑いのおかしみは決して薄れない。そして恒例となっているアフタートークで積極的に観客の解釈を聞き、自らの解説も怠らない。作品をだいじに扱う姿勢にも好感が持てました。


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05月31日(金)
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