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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ジャンゴ 繋がれざる者』
『ジャンゴ 繋がれざる者』@新宿ピカデリー スクリーン6

タランティーノのマカロニ・ウエスタン!あーもう大好き。何から書けばいいの〜。以下ネタバレあります。

タランティーノの、と言うところがミソで、ジャンル映画(今回はマカロニ・ウエスタン)への知識と愛情がありったけぶっ込まれています。そしてここだいじ、面白い映画は元ネタが判らなくても面白い。元ネタは後で知ればいいのです。終わってからのパンフ熟読、サントラ鑑賞等復習も楽しい。このシーンにはこんな背景が、あの台詞にはこんな意味があったんだ。作品自体を楽しみ乍ら、ジャンル映画の歴史も知ることが出来る。タランティーノは自分の大好きな映画を、自分の作品に折り込んで紹介する。映画って楽しいよ、このジャンルも、あのジャンルも。元ネタも是非観てみてね。映画鑑賞は一大イヴェント!映画は人生!そんな思いが詰め込まれてる。

そして映画だからこそのフリーダム、リアリティ追求とかなんぼのもんじゃい。時代考証に関しての大ボラは清々しい程です。この辺り『イングロリアス・バスターズ』から磨きがかかっています。その状況下で登場人物の“ほんとう”が光る。南北戦争の二年前にダイナマイトがあったら、ジャンゴのような、シュルツのような人物がいたら。その対面に実際にいたであろうキャンディのような、スティーヴンのような人物と、善良な差別主義者―例えばキャンディの姉ララ・リー―を置く。当時の「あたりまえ」、黒人奴隷がヒトではなくモノであった時代、アメリカの恥部を徹底的に描写する。

そこに絶妙に挿入されるヴァイオレンスとユーモア。映画のまえでは偽善をはがせる。映画の登場人物に対してなら、思う存分憎んでもいいのだ。ジャンゴの復讐劇は、現実に起こりえなかったことだからこそ悲しく爽快なのです。キャンディの蛮行に歯ぎしりし、ララ姉さんの最期に爆笑しました。大ボラのなかで生きる人間の真実に、「ねーよ!」と笑い乍らも涙する…このバランス感覚はタランティーノ作品ならでは。ちなみにタラちゃんが爆発するところは反射で笑ったわ…あの役おいしい(笑)。

時系列のシャッフルっぷりも健在で、ヴェルディ「レクイエム 怒りの日」をBGMにちょーかっこよく登場したKKK前身団体のシーンをぶった切った直後に、出発前被っているマスクで揉めてたゆるゆるシーンを置くと言うコントな脱臼っぷり。反面、見えない未来が破滅を呼ぶ―キャンディへの深読みがブルームヒルダ奪還計画に綻びを生む―やるせなさ。そうそう、前述のKKKゆるゆる話とキャンディの骨相学講座の対比も冴えてたなー。片やダラダラ無駄話、片やみるみる高まる緊張感。“幸運の手配書”の行方や、ジャンゴがシュルツの遺体にかけた言葉“Auf Wiedersehen(アウフ ヴィーダーゼーエン)”等、グっとくる場面も絶妙!極めつけは『ジークフリート』ですよ。白馬に乗ったジークフリート!この!タラ!ロマンティストめが!てかタラちゃんてナードなふりしてギークだもんね、絶対モテ男だよね〜あーにくい、あーだいすき!

だんだん話が逸れてきた。きりがないのであとはおぼえがき。

・サントラ!サントラ!サントラ!
・ジークフリートとブリュンヒルトと言うと『銀河英雄伝説』を思い出すクラスタです……
・歯医者馬車のデザインかわいい!
・馬かわいい!最初シュルツさんがつれてたお辞儀する馬も、最後ジャンゴが乗ってた脚芸披露する白馬も、賢くてかわいい!
・ちなみに白馬トニーはジェイミー・フォックスのホントの愛馬で、チータと言う名前だそうです。かわいいかわいい(訂正:「ジャンゴの相棒“トニー”」てなってるから白馬じゃなくて旅のとき乗ってた方ですね、失礼しました)

・『イングロリアス〜』でケーキ(と言うかシュトゥルーデル)を嬉々として食べていたクリストフ・ヴァルツが、今回ホワイトケーキいらないって言ったのにニヤニヤ。『イングロリアス〜』でも白いケーキ(クリームを載せて!)だったよね。“ユダヤ・ハンター”から人種差別、奴隷制度を嫌悪する賞金稼ぎに。ドイツ人もニッコリですな
・ジャンゴと出会ったことによって段々人間味が出てきて、その結果感情を抑えることが出来なくなって命を落とすことになるシュルツ。ほろり

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03月10日(日)
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