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by kai
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■『The Library of Life まとめ*図書館的人生』
イキウメ『The Library of Life まとめ*図書館的人生』@東京芸術劇場 シアターイースト

いやーっ面白かった。暗転と同時に唸りましたわ。終演後心身がじわじわと満たされていく感覚、高揚して劇場を出る感覚、コレだ!と言う舞台を観た感覚。たまりません。

出来の良し悪しに関係なく、頭の隅に「今何分経ったかな」「あとどのくらいで終わりに持って行くかな」と言う意識が必ずあるのですが、今回それをぐっちゃぐちゃに土足で踏み荒らされた感じです。快感!(笑)構成の妙ですね。体感時間を奪われる心地よさがありました。

過去上演された『図書館的人生』シリーズからセレクトしたオムニバス作品とのことですが、初演時の構成はどうなっていたのだろう?今回上演されたのは6作品。6エピソードと言った方がいいかな。アカシックレコードが想起される“図書館”に訪れたひとたちが、そこに収められている本を読む。一冊の本にひとつの魂の遍歴が記されている。本を開く。その魂の履歴が現れる。勿論、その利用者たちの魂の履歴もこの図書館のどこかにある。各々のエピソードが順番に上演されるのではなく、とある状況、とある小道具、とある関係性の共通点によって瞬時に時間軸がジャンプする。この構成は見事だったなー。その各々の時間に生きる、違う人物の役にスイスイ対応していく演者たちの身体の在りようも素晴らしかった。衣裳は変えない、ヘアメイクも変えない。なのに違うものに姿を変える。しかも切り替えのカンマがなく、滑らかに行き来が行われる。切り替えが始まった序盤は、状況から置いていかれた登場人物たちと同じように目を白黒させました(笑)。きつねにつままれる楽しさ。

複数のテキストをさまざまな位置に組み込む、こういった脚本・演出と演者のセッション的な劇作法は、劇団が外部の演出家との公演を経たのち前川さんが改めて演出を手掛けたことも大きいのかな。統制に気を配り、細部迄コントロールを行き渡らせた上で数々のノイズを仕込んで行く。お互いの手の内を知っているからこその、実に丁寧な劇団の仕事を観た印象がありました。

劇団らしいと言えば、これはイキウメのカラーでもありますが、ともすればスピリチュアルな世界に傾きがちな世界をあくまでロジカルに捉えようとする姿勢、そしてそのロジカルなポリシーに対し、自らその鼻をへし折るパンクな姿勢が痛快で苦くもあります。『太陽』『ミッション』で、その“鼻をへし折られる”役割を担っていた安井さんが今回もこてんぱんにヤラれるエピソードがありました。自分の“美学”をぺしゃんこに否定される。しかし彼の(役の)魂は、他のエピソード―次の人生かも知れない、前の人生かも知れない、違う時間の人生で、自らその状況を打開するのです。そしてその打開は、他者の拘束に繋がる。この連続性のどこにピンを刺すか、毎回興味を持って観ています。

いんやそれにしても『賽の河原で踊りまくる「亡霊」』の濃密さよ。笑いも含めて。あのーネタバレしますが、鬼が引き出しから金棒出してきたときの衝撃!なんてえの、出てきた途端「あああ、了解です!」てなるマイティさ。自称鬼が金棒を手にすることで、有無を言わせず公称鬼になるんですよ…あのほら、ソーさんにおけるムニョムニョみたいな(アベンジャーズ脳)。脳内で電気グルーヴの「Cafe de 鬼」が鳴ったのは内緒です。この画とともにな。



…いや、集中してない訳じゃなくて、人間ってのは同時にそういうことって考えられるものでしょう!そうでしょう!

髪型的には盛さんが鬼っぽかったなそう言えば…そして髪型と言えば加茂さんがパーマをあてててマー大人っぽくなってたワ!(オバチャン口調)あと森下さん見てると何故かヨタロウさんを思い出します。あーヨタロウさんと言えば、あのーこれはホント個人的な印象ですけどイキウメって、ある時期のザズゥシアターが大好きだったひとにはズッパまる空気があると思います。似てるって訳ではないのですが。とどんどん話が逸れていく。


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11月20日(火)
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